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2008年11月09日
小嶋バレエ教室発表会(その3)
第1部がバレエコンサートで,第2部が『白鳥の湖』2〜4幕
100人近く生徒さんがいるようで,たいそう盛大。
1時開演で,終わったのは6時前くらいだったでしょうか。
感心したのは『白鳥の湖』の独自色ある演出(江藤勝己さん)と,その演出のため必要な照明や装置がちゃんと準備されていたこと。発表会といえども,甘く見てはいけませんなー。
ということで,感想いきまーす。
(なお,松田敏子/小嶋直也の『ドンキホーテ』より についてはこちら)
第1部 バレエコンサート
あどけないお子さん6人での「犬のおまわりさん(歌つき)」に始まる「お遊戯かバレエか」が4曲。
「あどけない順」で登場するので,次の5曲目も皆さん小学生低〜中学年に見えるのですが,驚いたことにトウシューズで登場。
チャンレンジングな教室だなー,と感心して眺めるうちに,次からは古典のヴァリエーション大会に突入してしまいました。(ほとんどがソロだが,『眠り』宝石などは4人)
生徒さんの能力に合わせて修正した振付になっていたようですが,総じてこちらもチャレンジング。
「より高いレベルに挑戦しましょう」というのは発表会だから当然のことなのかもしれませんが,見る側としてはあまり楽しくないですねえ。
はらはらするばかりで,「お,上手」とか「かわいらしいわね」とか思えるチャンスが少いのは,ちと辛い。なにしろ,一番安心して見られたのが「大人からのバレエ」と思われる5人の皆さんだったくらいで。(『コッペリア』の「祈り」・トウシューズ)
中では,オーロラを踊った方が腕の動きまで気を配った踊りで,よかったと思います。
で,ヴァリエーションが10曲くらい続いた後で,小学校高学年〜中学生くらい20人による「マチネソワレミュージカル」という作品になりました。
「振付 奥田さやか」という表記がありましたが,最初からこの年齢の方たちが踊るのを念頭においての作品という感じ。楽しめました。
その後は,ゲストと上級生のパ・ド・ドゥが3つあって,最後が松田/小嶋の『ドンキ』でした。
『コッペリア』グラン・パ・ド・ドゥは今勇也さんが出演。よかったです。
リフト・サポートが上手な方ですし,精神的にも生徒さんをサポートしている感じでしたし,さらにソロも溌剌として躍動感も十分。
前にどこかの発表会で見たバジルもよかったですし,たぶん,この方,ノーブル系よりドゥミ・キャラ系のほうが向いているのでしょうねー。
次の『眠り』グラン・パ・ド・ドゥは徳永太一さん出演。腕の動きが要改善。あれでは王子の腕・・・というよりバレエの腕ではないと思いますです。
生徒さんは,オーロラより「たおやか」系の役のほうが似合いそうに思いましたが,上手でした。
『海賊』グラン・パ・ド・ドゥは塚田渉さん出演。サポートが安定しているのはもちろんのこと,2人で見せるポーズの完成度にも配慮して,優れたパートナーぶり。ソロも悪くなかったですが・・・彼って実はエレガントなダンサーなんですよね。アリにしては力強さに欠けるかも。
メドーラの方は清楚な気品が感じられて魅力的。イタリアン・フェッテのところは振付を変えていましたが,グランフェッテは32回転に成功。ダブルも入れていたかも? 容姿にも恵まれて華があり,プロになれるかも? と思いました。
この方は(オーロラの方とともに),『白鳥』では2羽の白鳥と花嫁候補で登場。そちらもよかったです。
第2部 『白鳥の湖』(2幕・3幕・4幕)
2幕は奇をてらったところがなく,普通でした。
オデットと王子の出会いは「マイムで語る」系の演出。大きな白鳥は2羽で,もちろん小さな4羽もいて。
コール・ドを16人揃えていて立派なのですが,えーと,たぶん小学生も参加? かなり体格差のある白鳥たちでした。(小さいので「視覚的な美」には少々問題ありましたけれど,皆さんきちんとポアントで踊れる方たちなので,全体としては特に問題なし)
オデットの方は,多少のミスはありましたが,丁寧にたおやかに踊っていて,よかったと思います。
3幕ですが・・・キャラクター・ダンスの登場シーンが,花嫁候補である各国の姫君たち(5人)がそれぞれのお国ぬりのお供を連れて登場する・・・という設定になっていました。話がわかりやすくてよいですね〜。
ジークフリートと王妃の座は下手側に用意されておりました。(珍しいかも)
王妃役は,生徒さんの筆頭に写真が載っている方。2幕・4幕では白鳥のコール・ドの中にいましたが,ほかのメンバーに比べてかなり年長に見えました。たぶん,アマチュアのバレリーナとして,仕事や家庭を持ちながら長年踊り続けているのでしょうね,落ち着きのある舞台姿でした。
たぶんこの教室は,小嶋直也さん以外には有名なダンサーを育ててはいないと思うのですが,こういう方がいるという事実が,教室の存在価値を示しているよなー,と感心したことでした。
キャラクター・ダンスの前に,パ・ド・トロワがありました。
これは,牧(や英ロイヤル系の演出)にあるパ・ド・カトルと似た雰囲気の役回り。宮廷側の人で,遠来の客様への歓迎の踊りなのだと思います。(中島哲也さん出演。音楽は,『グラン・パ・ド・フィアセ』より・・・というか,初演時の花嫁候補たちのソロからだと思われます)
お姫様は5人。
キャラクター・ダンスが登場すると,互いに「あら,今度はあなたのお国の方?」と会話したり,終わったところで「お見事ですわね〜」と誉め合ったり・・・。よい演出だと思いました。
各国の踊りの順番をはっきりとは覚えていないのですが・・・チャルダッシュ,スペイン,ルースカヤ,ナポリ,マズルカの順だったかなぁ?
チャルダッシュは生徒さん16人,スペインは男女2人(今さん出演),ルースカヤは小さな生徒さん12人,ナポリはソリスト2人(藤井学さん出演)+生徒さん7人,マズルカはソリスト2人(徳永さん出演)+小さな生徒さん14人。
スペインやマズルカでは,ベテランの生徒さん(二十代かな?)が貫禄の舞台を見せ,小さな生徒さんは集団で愛らしく。
ナポリだったかマズルカだったか? の生徒さんたちは,どういうわけか道化の衣裳でした。
で,花嫁候補の踊り。王子は終始不機嫌でしたが,王妃に言われたので,いかにもイヤそうに踊りに参加。
「この人」に渡すべき花束は,王子の合図に応じて前に進み出たパ・ド・トロワの男性に下げ渡されました。
そこにオディールが登場すると,王子は「おお,オデットが」と喜び,お母さんに紹介しようとする。(はやっっ)
そこを止めるのがロットバルト。「まずは2人で踊りなさい」とマイムで勧めて,グラン・パ・ド・ドゥへ。
で,驚いたことに,アダージオの音楽が『チャンコフスキー・パ・ド・ドゥ』の曲でした。王子のヴァリエーションは普通でしたが,オディールはグリゴローヴィチ版の曲。(振付も似ていた) コーダは,また普通に戻りました。
なお,オディールはオデットとは別の生徒さんだったのですが,お若いので子どもっぽさはあるものの,技術的には破綻なく。立派でした。
で,たしかパ・ド・ドゥの後に花束が再び持ち出され,王子はオディールに求愛し,そこで再びロットバルトが止めるんだったかな? いや,止めたのは王妃だったかな?
ちょっと忘れましたが,どういうわけか,花嫁候補の踊りの音楽が再び流れて,王妃とロットバルトがちょっと踊り,花嫁候補たちが笑顔で(←なぜ?)踊り出し,主役2人もちょっと踊り,音楽は途中で終わりました。(プログラムでの江藤さんの説明によると,原典に忠実なのかも)
そして,再び王子がオディールの手をとろうとすると,ロットバルトが止めて,「そのためには何をすればいいか考えろ」とマイムで語る。
デジレに「目覚めさせるにはどうすればいいか考えなさい」という英国系リラの精を思い出しました。で,王子は打開策を思いつかず,リラ・・・じゃなかった,ロットバルトが「愛の誓いのマイムだよ」と指示。無事に・・・じゃなかった,愚かにも王子が愛を誓い,その瞬間,舞台後方の窓の向こうにオデットの姿が。
これは立派だ。発表会でこのような装置が出てくるとは。
そういえば,2幕でもちゃんとロットバルトは岩の上にいたし・・・と感心していたら,なぜかロットバルトは上手に引っ込み,オディールが1人で「王子を嘲る」の芝居を展開。
なぜかなー? と不思議に思っていたら,再びロットバルトが登場。なんと! 賓客姿から鳥の姿に戻っておりました。
おお,なるほどっ。
わかりやすくてよいですよね〜。こんな演出初めて見たわ〜。
とさらに感心。
戻ったロットバルトはオディールを伴い風のように去り(あ,書き忘れていた。塚田渉さんです),残された王子はお母さんの肩をつかんで揺すぶるという「あんたのせいだっ」のように見える謎の演技を見せ,その後は通常の演出と同じく駆け去って行きました。
4幕の白鳥は16羽。途中から雛鳥6羽が加わりました。(2幕では白鳥に参加していた小さな方たちが担当) 雛の衣裳はグレーなのですが,ちょっと色が薄すぎた感じ。黒鳥に見えてしまうのよりはマシだと思いますが,醜いアヒルの子にしてはきれいすぎるような?
で,王子登場。多少は戦いますがたいへん弱く,倒れ伏してしまいます。王子をかばおうとする(命乞いする?)オデットに,ロットバルトは「それならオレの女になれ」と迫り,それを拒むには自らを消すしかない・・・的な雰囲気で,オデットは湖に身を投げました。
次いで王子も身投げしてしまい,「最愛のオデットを失ってしまったロットバルトは,はじめて,自らの犯した過ちに気付き,悔やむ(プログラムのあらすじより)」という場面となりました。
舞台上のロットバルトが「自らの犯した過ちに気付き,悔やむ」というふうに見えたかというと,そこまではわかりませんでしたが・・・「最愛のオデットを失った」ということはわかりました。
オデットが(王子も,ですが)身を投げた湖のほうに向かって手を伸ばし,あるいは,両手を広げて正面に向いて嘆き,ついには意を決した様子を見せて,自分も後を追おうと湖のほうに向かい・・・舞台奥に達したときに,天井から走る稲妻に打たれて意を通すことができず倒れる。再度駆け寄り,白鳥たちに妨げられたところに再度稲妻。
いやー,照明も本格的だわ〜。すばらしいわ〜。
そして,ロットバルトは落雷で受けた衝撃でもがきつつ段々と弱っていき,最後は白鳥4羽(2羽だったかも)が両手をつかんで振り回して回転させて湖に(?)突き落とす・・・という『眠り』の次は『ジゼル』ですかいな,な場面に。
それにしても引っ張ったよなー。ロットバルトは演じ甲斐あっただろうけど・・・と思う中,舞台奥が明るくなり,紗幕の向こうに主役2人が寄り添う姿が浮かびあがりました。
オデットはチュチュではなく娘の姿になっており,ジークフリートのほうも,2幕の白い衣裳に御召替え。
おお,なるほどー。このためにロットバルトの死への段取りが長かったのですねー。考えたよなー。アイディアだよなー。
というわけで,上演の成熟度はもちろん発表会ですが,演出については,大いに楽しみ,感心したのでした。
プログラムを読むと,この演出にはプロローグがあるのだそうです。
臣下のロットバルトがオデットに恋をし,愛を告白するが母の王妃に拒まれ,怒りのあまり王妃を殺してしまい。嘆き悲しむオデットを魔術で白鳥の姿に変える・・・と。
全体通して見てみたかったですねえ。できれば,発表会でなくプロの舞台で。
江藤さんは新たな発見。「踊れるバレエ・ピアニスト」という文字で見た知識しかなかったのですが,振付については未知数ながら,演出については「大したもんだなー」でありました。
ロットバルトの描き方に代表される独自の解釈ももちろんですが,年端のいかない生徒さんたちを全幕の中で活かす術も含めて,プロフェッショナルな演出家だと思いました。
そうですねー,熊川哲也さんと同じ程度には才があるのではないでしょーか?
私が新国や東バ・牧の芸監であれば,自分で新演出を手がけたり,海外から「?」な作品を輸入するのはやめて,この方を古典の監修者に雇いますけどー?
というわけで,♪小嶋さんのバジル♪ 以外にも,意外にも(韻を踏んでしまったわ)楽しめる舞台だったのでした。
もし次の発表会にも小嶋さんが出るのなら,全幕作品のほうは引き続き江藤さんにお願いしていただいて,そちらも楽しませていただきたいものですわ〜。
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