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2009年08月29日

バレエフェス・ガラの感想(おまけ編)

フィナーレの『眠り』のアポテオーズの演奏が始まったところで,いつもどおり(←という気がしたが,実際は記憶不確か)下手袖から出てきた白塗りの怪人物(実はマラーホフ)が音楽を止めて「ササキサン」を呼び出すところから,ガラの日ならではのお楽しみが始まりました。

登場したNBSの佐々木専務理事によるファニー・ガラの告知は,原稿が用意されていたにもかかわらず,かなーり聞き取りにくいものでした。
まあ,これはしかたがないですよね。ご高齢で立っているのも大変そうでしたし,加齢による体力的衰えがあっても(あるからこそ?),佐々木さんご本人が登場することに意味があるのでしょうから。

その告知の途中で,「日本ではアフター・シアターを楽しむ場がないので,今日は文化会館2階の精養軒に終演後1時間営業をお願いした。是非皆さんご利用ください」みたいなお知らせと,「フェッテの手拍子はやめましょう」という啓蒙が行われたのですが,後者に関連して,佐々木忠次さんというのは実にもって失礼な人だなー,と改めて呆れたことでした。

佐々木さんの発言は,熱心なバレエファンであった故人・・・(現在につながる成果が生まれたかはさておき)バレエの普及やバレエダンサーの育成のために多額の私財を投じた方でもあります・・・に対して「文化人でもないくせに」呼ばわりすものでした。

その故人が「フェッテの手拍子」を発案し普及させたのかどうかについては私は知識がありませんが(ロシアの舞台を収録した映像でも行われていますから,世界の各地で自然発生しているのではないかという気もする),かりにそうであったにしても,ああいう言い方は無礼千万です。

手拍子がダンサーにとって迷惑であるのなら,そのことを説明して止めるように説けばいいだけのことです。わざわざ故人を貶める必要は全くありません。

そもそも舞台が終わった後で佐々木さんが述べるというのは,注意の方法としては全くもって不適切。
大切な注意なら,開演前にアナウンスを流せばいいではありませんか。

佐々木さんの物言いは私にとって極めて不愉快でしたし,それを聞いて笑い声が上がったのは,それ以上に不愉快なことでした。



佐々木さんが下がると幕が開き,おなじみのオープニングの音楽とともにおなじみのデザインの字幕が登場し,「第12回世界バレエフェスティバル」の文字が反転すると「第13回世界バレエフェスティバル 予告編」の文字が。
よかった,これで出演者がちゃんとわかる・・・と一瞬喜んだのですが,そこまでは用意しきれなかったということでしょうかね,字幕はどこで終わり。

『コッペリア』のスワニルダたちがコッペリウスの家におっかなびっくり忍び込む音楽で,上手袖から5〜6人のダンサーが登場。頭に大きなリボンをつけたのとか,ヘンテコなカツラのとか,チュチュ姿の男性が多かったですが,オペラグラスを使っても,誰が誰やら・・・でありました。

コッペリウスの家の人形を引っ張り出してみたら踊りだした・・・という設定みたいで,最初は,マラーホフ@ジゼルとヴィシニョーワ@アルブレヒトによるパ・ド・ドゥでした。
マラーホフは白塗りで髪に大きな花を飾ってグロテスク。ヴィシニョーワは10代の少年が踊っているみたいで,すっごくかわいらしかったです。
しおらしいジゼルがリフトの段になったらいきなりアルブレヒトをリフトするとか,最後,跪くアルブレヒトの背後でジゼルがポーズしてべちゃっとアルブレヒトをつぶしてしまうとか。(上手いもんだなー,と感心)

次は,シムキン/コチェトコワ(←たぶん)による『海賊』奴隷のパ・ド・ドゥのアダージオ。
女の子みたいに細く見えるシムキンもチュチュ姿になると筋骨隆々なのだなー,と感心しましたが,コチェトコワの上手なサポートもあって,手をつないで支えられてのアラベスク・パンシェ(←たぶん)などはとてもキレイ。
ベールがほどけてしまって,無理やり巻きつけられる,等。

次は,サラファーノフによるフロリナのヴァリエーション。
彼も細く見えますが,やはりゴツイのですねえ。真面目に踊っていて,美しく,面白かったです。
次は女性ダンサーの青い鳥が登場。踊りだした途端,その前から舞台上うろうろしていた太った狩人(指揮者のオブジャコフのようでした)に撃たれて絶命しました。ギャグとしては,これが一番面白かったと思いますです。

続いて,上手に行儀悪くすわって,写真を撮ったり煙草を吸ったりしていたピンクのチュチュのスワニルダの友人3人で,『海賊』のオダリスクのアダージオ。
皆さん扮装が凝り過ぎで,私には1人も見分けられませんでしたが,デカい男性3人でありました。

次は,お髭をつけたオシポワが颯爽と登場し,『パリの炎』の男性ヴァリエーションを踊りました。まるほどー,適役だなー,と。でも,さすがにグラン・テカールまではしないのだなー,とも。
皆が彼女を取り囲んで写真を撮ったりいろいろしておりました。出待ち風景のマネでしょうかね?

ここで舞台転換。幕が上がると,上手奥に,次は『バヤデルカ』だな,とわかる短い坂があり,スタッフらしき2人が慌てて坂の向こうに隠れるという巧まざるユーモラスなシーンから。

次々と降りてくるダンサーたちは,たぶん総勢11人。(ヴァリエーション3人以外に,左右に4人ずつコール・ドが並んでいたから) 
女性は3人。セミノノワときれいなバレリーナ(カーテンコールのティアラからブシェと判明)と丸いサングラス? をかけた小柄なバレリ−ナ。残りは男性でした。

第1ヴァリエーションは,ボァディン(カーテンコール時にカツラで登場したので判明)。
第2ヴァリエーションはカレーニョ。胸の詰め物が上下にズレて大変なことになっていました。
3人目はマルティネスでした。彼は,白塗りやらカツラやらの過剰な装飾? なしでいつもと同じ顔で登場してくれるので,分かり易くて助かります〜。尋常に踊って,振付どおりイタリアン・フェッテも披露しておりました。

当然ながら,コール・ドもいろいろ演じておりました。
セミオノワが1人だけ『白鳥』のポーズをとって周りが『バヤデルカ』なので慌てて直すとか。彼女は終わった後のカーテン前で「泣く」マイムをしてみせたりしておりましたね。
一番面白かったのは,下手側の4人のうち3人がドタバタを繰り広げている中,1人だけ袖のほうを向いて正しい影のポーズを続けて超然としていた人。白塗りでくっきりと頬にシャドウを入れたメイクのためよくわからないのですが,もしかするとフォーゲル・・・かなぁ?


カーテンコールは,例によって,改まった私服の人,衣裳の人,おまけのままの人,半分だけ回復した人などが入り混じり。
今までは,もうちょっと待ってもいいから出演者は着替えて出てきてほしい,できれば全員私服姿を披露してほしい・・・と思っていたのですが,今回くらい「いったい誰なんだ?」が多いと,余興に出演した人はそのまま出てきてくれたほうが本名が判明してよかったような気も。

ボァディンの服装がどうだったかは忘れてしまいましたが(前述のとおり,髪はカツラのまま),カレーニョは今回も,バレリーナ姿のまま平然と紳士的にパートナーをスコートしておりました。
びっくりしたのはマルティネス。涼しい顔でアルブレヒトの衣裳で現れましたよ。白塗りなしで踊れば,こういう早替わりも可能なのですねー。

ああ,面白かった♪

  

  

2009年08月23日

バレエフェス・ガラの感想(第4部)

第4部

『パリの炎』
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ボリス・アサフィエフ
ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ

この日は「テクニック勝負」系演目が少なかったので,Bプロのときよりはこのペアの存在意義が感じられましたが,見ていてあまり楽しくなかったです。
「気迫溢れる上演」すぎて,普通このパ・ド・ドゥを見るときの「元気なテクニック披露を暢気に楽しむ」という楽しみ方ができにくい感じ。

サレンコは回転系が上手。
ヴァリアシオンもきれいに(&普通より多いかも? な感じで)回っていましたし,コーダのフェッテは前半は規則的にトルプルを入れ,後半は450度ずつ回って身体の向きを変える技を見せていました。
『コッペリア』でも同じことをしていましたが,前半の「ぐらつくバランス」がなかった分,この日のほうが好感度が高く。

コンヴァリーナは,跳躍系が上手。きれいに脚を開いて跳んでおりました。
が,かなーりテンパってる風でして・・・フランツはよかったのになぁ,テクニック系パ・ド・ドゥ向きではないんだろうなぁ,と思いましたです。


『三人姉妹』
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー
マリアネラ・ヌニェス ティアゴ・ソアレス

作品としての完成度が高いので、どなたが踊ってもそれなりに感動的な演目。
さすがはマクミランですよね〜。英ロイヤルはこういう財産があってよいですよね〜。

ヌニェスは,おとなしやかな若夫人風。
今まで同じ役で見たバレリーナに比べて特に印象的だった点はありませんが,普通によかったと思います。
最後にヴェルシーニンのマントを抱きしめるところに「クサい芝居」感がありましたが・・・プログラムのプロフィール欄を見るとこの作品がレパートリーに入っていないので,今回初めて踊ったのかもしれませんねー。

ソアレスが踊るときの,どすんばたんという大音響には驚きました。(3年前のウルレザーガもすごかったですが,さらに上を行くなぁ。←「上」でなく「下」と言うべきか?)
それから,衣裳が似合っていませんでした。というか,つんつるてんに見えたのですが・・・バレエ団の衣裳を借り出してきたが彼には腕が短すぎたとかでしょうかね???(謎)

という2要素のため,あまり感心はできなかったのですが,マーシャに対する演技に包容力と愛が感じられたのはよかったです。踊りに多少足らざる点があっても,私生活上のパートナーを連れてくる意味はあるのだなー,と少し納得しました。


『ザ・ピクチャー・オブ』
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ヘンリー・パーセル
マニュエル・ルグリ

薄暗い中,無音で始まり,次いで(プログラムによると鯨の鳴き声だという)奇妙な音が流れたのには暗澹としましたが,その後は宗教的な感じの音楽になり助かりました。

私には意味不明の振付でした。というより,何も伝わってくるもの,訴えかけてくるものがなかったのですが・・・そういうモノを求めてしまうのは,ルジマトフの舞台を見続けてきた後遺症なのかもしれません。
「太極拳か?」な振付をビロードのような滑らかさで踊るルグリの動きは見事。(少々退屈しながら)見惚れました。


『ロミオとジュリエット』
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
オレリー・デュポン ローラン・イレール

緊迫感に満ちた上演。感動的でした。
この作品は以前全幕で見たことがあります。その時の感想はこちらですが,その印象からして,これも,「振付と音楽の力で誰が踊ってもそれなりに感動的になる作品」に該当すると思います。今回は,その上ダンサーが優れているわけですから,たいそう見応えがありました。

印象的だったのは,最初はロミオが,後にはジュリエットが,死んだ恋人の指を口でくわえて持ち上げる動き。エロティックでありながら暴力的。しかも滑稽でもあるからこそ悲痛。

この作品のジュリエットは「支配階級のお嬢様」という設定ですから,女優のような美しさのデュポンはたいへん似合っていました。

ロミオのほうは労働者階級の青年で,もしこれが10年前のイレールであったら似合わなかったかもしれないなー,と思います。
いや,「青年」という意味では,今のほうがずっと苦しいわけですが,しかし,前髪の生え際が後退し,少々「現役ではない」感のある体型の今のほうが,つなぎの衣裳も板につくというもの。
(実際以上に)年齢差が感じられ,「許されざる恋」に説得力を与えていたと思います。


『春の声』
振付:フレデリック・アシュトン  音楽:ヨハン・シュトラウス
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

脳天気にかわいらしいデュエット。
3年前にも見て「新婚さんはいいわね〜」と思いました。今回も同じ感想でして・・・3年経ても衰えない2人の幸せオーラはすばらしいというか,アホくさくてつきあいきれないというか。

私としてはこの演目がなくても一向に差し支えないのですが,ガラ向きの演目ですからよろしいのではないでしょーか。
ダンサーとして優れており私生活上のパートナーでもある2人が,こういう催しでともに踊れるというのは,実に幸運な境遇ですよね〜。


『ドン・キホーテ』
振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
上野水香 デヴィッド・マッカテリ

通常見るのとはだいぶ違った振付で,リフトもない上演でした。
なんかどこかで見たことのある振付のような気もするのですが,いろいろ思い返してみても思い当たるものはなく・・・。東バが上演しているワシリーエフ版と違うのは間違いないと思います。英ロイヤルはバリシニコフ版でしたっけか? だとしたら,やっぱり違う・・・。
今回のためにわざわざ振り付けたわけでもないでしょうし(←誰が?),謎ですわ。

上野さんは,長く安定したバランスと(準備作業が見えすぎてイマイチではあるが,それなりに効果的な)扇の開閉&ダブルを入れたフェッテを見せましたし、少女のような笑顔がチャーミング。
「ジゼル1幕の衣裳の色を赤くしてクラシック・チュチュに仕立て薔薇1輪を飾っただけ」という感じのかわいらしい衣裳も,彼女のおっとり〜とした個性に似合っていて,Bプロの黒鳥よりずっと魅力的でした。

彼女の問題点はいろいろあると思います。上半身の動きに雑なところがあるとか,情緒が不足しているとか,(最近はそうでもなかったのですが)自分の踊りに自信を持てないまま踊っているのが観客にわかってしまうとか・・・。

で,この日見ていて強く感じたのは,上記の最後の点と共通する問題点。パートナーシップへの不安があまりにも正直に踊りに出てきてしまうのだなー,ということです。

バランスやフェッテは1人でできる技術です。そこはちゃんと見せられる。
でも,アダージオは・・・(見慣れない振付ですから踊り慣れていなかったのかもしれませんが)あまりにも確信が欠けている。
たぶん,パートナーが高岸直樹さんであれば,ずっとよい舞台になっただろうと思います。逸見智彦さんであっても,もっとマシだったろうと思います。

言い換えれば,マッカテリは,彼女のパートナーとしては,全くもって不適格だというのが私の意見です。パートナーを助けようという気持ちが見えない。2人でよい舞台を作り上げようという姿勢がない。
決められた振付のとおり踊っていて,それなりの実力のダンサーですからそれなりにかっこよく見えますが,それだけ。

いや,そういう助力を必要とするのは,上野さんの未熟さではあります。彼女に問題があるのは確かだと思います。
しかし,東バを経営するNBSが彼女をこの催しに出演させることにした以上,しかも「プログラムの1つくらいにちょっと出てみました」という斎藤さんと違ってA・B・ガラを通して出演させ,『ドンキ』でトリまでとらせる以上,彼女の魅力を最大限に売り込みたかったわけでしょう?
そういう方向を前提に考えると,今回のパートナー選びはあまりにも無神経だったと思わざるを得ません。

いや,それにしても疲れました。
私は牧時代から上野さんの舞台を見ておりまして,当時から「そんなにいいかぁ?」という冷たい観客だったと思うのですが,今回は,彼女のあまりの健気さに,ついつい「応援モード」になり,励ましの拍手を送ってしまいましたもん。

私,ダンサーを応援するのってイヤなんですよ。新人の初主役などでそういう気分になることもありますが,そういう舞台より「あら,初主役とは思えないわ」のほうがよいのは当たり前。お金を払って楽しませてもらうのが観客であって,応援する義理はない。
それなのに,そういう気分を,よりにもよって世界バレエフェスティバルで味わうことになるとはねえ。参りましたよ。あっはっは。長いことバレエを見ていると,いろんな体験をするものですねえ。

  

  

バレエフェス・ガラの感想(第3部)

『ラ・シルフィード』
振付・オーギュスト・ブルノンヴィル  音楽:H・S・レーヴェンスヨルド
ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ

えーと・・・オシポワはミスキャストに思われました。
跳躍力に秀でたバレリーナですのでシルフィードには向いていそうに思ったのですが,不思議なことに,それとこれとは全然別の要素らしいですねー。高く,大きく跳躍しているのですが,妖精の浮遊感はありませんでした。

いや,悪かったとは全然思いません。
いたずらっぽい感じもあったし,「ジェームス一途」と形容したい趣の可愛げもあったし,「無邪気だからこそ対処に困る」とも思ったし,衣裳だって似合っていた。色気もあって,魅力的だったと思います。
ただ一つ。生身の人間にしか見えなかったのですよねえ。

サラファーノフは,「欺されやすそうなお坊っちゃん」に見えるのが適役でした。
普通の振付以上に忙しそうな足技を盛り込み,しかもスムーズ。たぶん,本来のブルノンヴィル・スタイルとは違うロシア風の踊り方だとは思うのですが,見事なことは確かです。

ジェームズの衣裳は白のブラススと赤系のキルト。
サラファーノフの上半身は,細すぎて貧相に見える傾向があるので,ブラウスではなく「きっちり上着も着込む」系のほうが賢明だったのではないかしらん?


『アルミードの館』よりシャムの踊り
振付:ジョン・ノイマイヤー  音楽:ニコライ・チェレプニン
ティアゴ・ボァディン

『アルミードの館』というのは,バレエ・リュスがパリで上演した最初のバレエで,振付はフォーキン。たぶん「今では失われた作品」に該当するのだと思います。

今年創作されたというノイマイヤー版『アルミードの館』については全く知識がないまま舞台に臨んだのですが,踊り始めたボァディンの口角を上げた笑いがニジンスキーに似ていてびっくり。
イメ−ジはわかっていただけますよね? あの「中性的で,魔物めいて,妖しい笑い」とそっくりだったんですよ。(ほんと,驚いたわ〜)

衣裳もいかにも「クラシック・バレエでのシャムの踊りの衣裳」的なエキゾチックな趣ですし,いわばノイマイヤーによる復元の試みなのだろう,と思いつつ鑑賞しました。
振付の細部は忘れましたが,赤い疾風が舞台上を縦横に駆けるような踊り。そして,ラストシーン,身を伏せて獲物を狙う猫科の動物のようなポーズは,うわ,これ,見たことある! ニジンスキーの写真そのままだ!!


私は基本的に「自分が実際に舞台を見られるダンサー」にしか興味がないので,ニジンスキーについても特に思い入れはないのですが,こういう風に見せられれば,やはりバレエ・マニアの血が騒ぎます。
なぜにボァディンがソロを??? と不思議だったのですが,なるほどー,こういうことでしたかー。(ノイマイヤーは,ダンサーの売り込み方も上手いね)

後日ハンブルク・バレエのサイトで写真等を見ての推測ですが,ノイマイヤー版『アルミードの館』は精神を病んだ後のニジンスキーを描いた作品のようです。(初演者は,オットー・ブベニチェク)

妻(ブーローニュ)や主治医(ウルバン)が登場し,追憶中の劇中劇として,ニジンスキーがパリを席巻した契機となった『アルミードの館』でのパ・ド・トロワが盛り込まれ(ニジンスキーが踊った「奴隷」役はリアブコ),アルミード役は妻と同じブーローニュ,ディアギレフは(もちろん! 主治医と同じ)ウルバンで・・・。

調べてみたところ,「シャムの踊り」は,フォーキン作『アルミードの館』の中の踊りではありません。
フォーキン振付による『オリエンタル』という表題のディベルティスマンの中の踊りで,インド風,ペルシア風,中国風等々の踊りが繰り広げる中で,ニジンスキーはシャム風を担当したということのようですが・・・ロシアでの初演時には「男性プリンシパルが女性パートナーを伴わすに踊る初めての例」という評価もあったそうです。

ノイマイヤー版の中では,リアブコが踊る奴隷とともに,病んだニジンスキーを訪れる過去の記憶として存在し,踊るのではないか,と。
・・・余計な話が長くなりましたが,見応えのあるソロだったと思います。


『マクベス』
振付:ウラジーミル・ワシーリエフ  音楽:キリル・モルチャノフ
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ

初めて見ました。
1980年にワシリーエフが振り付けた2幕の作品中のパ・ド・ドゥだそうです。おそらく,ボリショイでも最近は上演されていないのかと思いますが,衣裳や振付や全体の雰囲気が「なるほどー。1980年の作品なんですよねー(ふるっ)」という感じというか「ソ連の現代作品(懐かしー)」な趣というか。

ではあるのですが・・・同時に,「おお♪ ザハロワの美質をこんなに生かせる作品をよくぞ発掘っっ♪♪」でもありました。(見ているうちに,彼女に当てて創られた作品のような錯覚に陥った)

女性の脚が,男に絡みついたり,リフトされつつ空中でさまざまな形を見せたり・・・そういう動きが多用されているのですが,何しろザハロワのしなやかで長い脚ですから,実に美しい。
しかも,彼女は(そしてウヴァーロフも)あまり色気がないダンサーなので,そういう動きに過剰な性的意味が付加されないで,心情や物語だけがくっきりと立ち上がってくる印象。

預言を得てもなお逡巡するマクベスに謀反するよう妻が迫る場面・・・かと思いますが,ドラマチックでとてもよかったです。

女性の衣裳は赤のロングドレスですが,前面は膝よりずっと上の短さ。(センスの悪さがソ連的)
男性は,うーむ形容し難い。「ローマ時代のようでもあるが,そう言われてみればいかにもマクベスのようでもある」感じ。ウヴァーロフが前髪を下ろしていたのが,非常に中世的に見えました。


『ロミオとジュリエット』より“寝室のパ・ド・ドゥ”
振付:ケネス・マクミラン  音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ

レイエスは小柄ではありますが,成熟した大人の雰囲気もあり,恋人と(うん? 密かに結婚した後なわけだから,夫と言うべきか?)ひと晩をともにすごした後なのだよなー,ということがよくわかる感じ。よかったです。

カレーニョは,この催しでおなじみの演目ではなくロミオを見せてくれたのはよいとは思うのですが・・・10年遅いのでは? という気もしました。
包容力ある大人のロミオで,全幕で見ればそういうロミオもあるかとは思いますが,この場面に関しては,ううむ・・・。


『じゃじゃ馬馴らし』
振付:ジョン・クランコ  音楽:クルト・ハインツ・シュトルツェ
マリア・アイシュヴァルト フィリップ・バランキエヴィッチ

振付もダンサーも見事だったと思いますが,私,この作品は嫌いなのですわ。パ・ド・ドゥだけの上演だから割り切って楽しめばいいのでしょうし,途中からそれに成功したような気がしたのですが,ラストを見たら,全幕を見たときの不快感が甦ってきてしまいました。


  

  

2009年08月16日

バレエフェス・ガラの感想(第2部)

『ジュエルズ』よりダイヤモンド
振付:ジョージ・バランシン  音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

3年前にも見て,そのドラマチックな表現に驚きながら感動した演目。
大いに期待して臨みましたし,期待どおりのすばらしさ♪♪♪
美しく踊れる(←重要)コール・ドつきで踊るのも見てみたいものですが・・・難しいかしらね?

美しくどこかもの哀しい音楽の中,美しい2人が描き出すドラマは,許されない恋の物語? 出会ったときは既に遅く,それでも会えば魅かれるしかない。結ばれる望みはなく,それでも,忘れ去ることはできない運命の恋人。(で,たぶんプラトニックなんだよね)

今回特に強く感じたのは,視線の重要さです。見つめ合っているときもあれば,向き合っているのにあえて外して踊るときもあり,ヴィシニョーワは目を伏せているシーンも多く・・・。こういう細部がドラマにつながるのだなー,と再確認しました。
「バレエは視線の芸術だ」というフレーズが頭に浮かんだのですが,これってどなたかが言っていたことでしたっけ?


『カンティーク』
振付:モーリス・ベジャール  音楽:ユダヤの伝承音楽
エリザベット・ロス ジル・ロマン

1987年に振り付けられた作品だそうです。
ロスは白いロングドレスに左右に分けた長い三つ編み。ロマンは黒の衣裳にユダヤ風の帽子を着けていました。

たしか3曲あったと思うのですが,最初のうちは,女性は舞台中央の白い箱(?)の上にいて,その周りで男性が踊っていたような記憶が。最後は2人とも激しく踊っていて,なにか宗教的な儀式のようにも見えました。

プログラムの解説が難しくてよく理解できないし,私には面白くありませんでしたが,音楽の雰囲気とはよく合っていたと思いますので,たぶん,よい振付なのではないでしょーか。


『グラン・パ・クラシック』
振付:ヴィクトール・グゾフスキー  音楽:ダニエル・オーベール
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

セミオノワは,装飾も含めて黒で統一したチュチュで登場しました。白い衣裳で踊られることが多い作品ですが,黒もシャープな感じでよいです。
前回は「若手」という感じでしたが,今や堂々たるプリマですよね〜。アダージオのバランス技もヴァリエーションのパ・ド・シュヴァルも立派な出来ですし,かっこよく輝いておりました。

フォーゲルは,タイツは白で上が黒という衣裳。
3年前に黒鳥のパ・ド・ドゥを見て,技術の低さに呆れたのですが,だいぶ上達したようでした。とはいえ,回転系はやはり・・・。それに,全体に「もったり」感がある踊りで,うーむ,私はこの方の踊るクラシック・バレエを見たいとは思いませんー。
あ,前髪を整える努力をしているのを初めて見ました。うむ,よいことですね。


『TWO』
振付:ラッセル・マリファント  音楽:アンディ・カウトン
シルヴィ・ギエム

見るのは3回目ですが,率直に言って,何回も見たい作品ではありません。
まあ,見るのがイヤというほどでもないので,上演してもらってもよいのですが・・・でも,最初のほうの「暗い中で蠢く肉体」はないほうが嬉しいなぁ。

後半の,旋廻する手や足にスポットライトが当たって残像が生まれる・・・の辺りは,今回も座席の位置が悪かったみたい。細切れというか何というか,消化不良の感が残りました。


『ソナチネ』
振付:ジョージ・バランシン  音楽:モーリス・ラヴェル
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

感想:つまらなかった。
と一言で終わっちゃいそうなくらい,私には退屈な作品で,早く終わんないかなー,と願いながら眺めておりました。

前にもバランシンでこういう目にあった記憶があって・・・後から調べたら,『デュオ・コンチェルタンテ』のようです。
あれは,ダンサー2人とバイオリン奏者だけが舞台上にいて,踊らない時間がけっこうある作品であった。今回はダンサー2人とピアニストが舞台上にいて,踊らない時間も・・・少しあったよね。(←自信なし)
・・・うーむ,似ている。

衣裳は,『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』に似ていました。女性はサーモンピンクで形もそっくりだったような? 男性は,色は淡いブルー〜パープル系で似ていましたが,上半身はロミオ型ブラウスだったかな。
ルグリの腕の動きがエレガントでした。


『海賊』
振付:マリウス・プティパ  音楽:リッカルド・ドリゴ
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン

コチェトコワは白く輝くチュチュで,シムキンも白いハーレムパンツに上半身の三角布(←何と呼べばいいのだろう?)も透ける白。
なるほどー。考えましたねー。「ちっちゃくてかわいい」2人の個性を生かした衣裳ですよねー。(ん? 見たことないんだけど,まさかABT仕様ではないですよね?)

シムキンに関してはBプロで「ううむ・・・」があった上,何しろ『海賊』ですからねー,自分の反応をかなり心配していたのですが,アダージオがロマンチックだったので,「あら,いいわね〜」となりました。

「お姫さまと海賊」でもなければ「首領の恋人と奴隷」でもなかったと思います。ええっと・・・「10代前半の王子と幼なじみの乳母の娘(10代半ば)がロマンと冒険の海賊ごっこ」でしょうかね?
でも,このアダージオを「テクニック披露の前座」として扱わず,恋人2人の踊りとして見せていたと思うし,何より,このパ・ド・ドゥ特有の「両手を肩の辺りに置く」形が洗練されていて,メドーラへの想いの表出になっていたのが嬉しい♪

ソロに関しては,やはり音を引き伸ばしすぎるんじゃないかなー,という点が気になりました。(音楽を遅くするよう指揮者に注文しているのか,踊り方の問題なのかはわからない)
でも,あれだけ軽やかで美しいテクニックを見せてくれるのなら,あんまりどうこう言わなくてもよいのかなー,という気もしました。

最近流行りのあの技,後方に斜めに身体を倒しながら360度回る離れ業は540(ファイブフォーティー)と言うのだそうですね。(←2ちゃんねるで学んだ知識)
そう言われてみれば,あれは360度回転ではなく540度だ,と思ったり思わなかったり・・・。

要するに「よーわからん」わけですが,あの技を3つ続けて見せたのには驚きました。
しかも,軽やかで高くて・・・あの技のあと「ふわっ」と降りるダンサーを見たのは初めてだなー。すごいよなー。
あ,そうそう。登場シーンでのアラベスクの背中の柔らかさも見事でした。

コチェトコワは,私がイメージするメドーラとは全然違いました。(小柄なバレリーナさんは,ギュリナーラにどうぞ〜)
ですが,この際「シムキンと踊る」という前提があるわけで,こちらも,どうこう言ってもしかたない。
楚々として軽やかな踊りでしたし,テクニックも強い。フェッテなんて,後半たまにシングルが入った程度で,ほとんどダブルで通しましたもん。

うん。よかったと思いますよん。


(第3部の感想は,今週末を目標としたいと思います)

  

  

2009年08月15日

バレエフェス・ガラの感想(第1部)

全体の簡単な感想は↓にあります。


『白鳥の湖』第1幕よりパ・ド・トロワ
振付:グレアム・マーフィー  音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ルシンダ・ダン/レイチェル・ローリンズ/ロバート・カラン

1幕のパ・ド・トロワのアダージオの音楽を用いて,三角関係をわかりやすく(=露骨に)描く踊り。王子はの心は男爵夫人にあり,オデットは明らかに疎外されているということを観客に伝える場面です。
たしか,そこまでもいろいろ伏線はあったけれど,この踊りで,真相がはっきりするのではなかったかなー?

一昨年全幕で見たときとは3人とも違うキャストでした。ダンサーの演技力よりは演出・振付が際立つ作品ですので,そんなに印象が違うわけではないのですが・・・

今回のほうが,女性2人が容姿も年齢も舞台上の貫禄も差がなく見える分(むしろオデットのほうが美人さんだしー),双方張り合う感じが強かったかも。
一方,カランはいかにも線が細い優男。「困惑するうちに流されていく」王子がたいそう似合っておりました。

ということで,楽しんだのですが・・・1曲だけというのは短すぎると思いましたし,前回すてきだったダンのクラシックが見られなかったのは残念でありました。


『カルメン』
振付:ローラン・プティ  音楽:ジョルジュ・ビゼー
タマラ・ロホ/フェデリコ・ボネッリ

で,こっちは長すぎると思いました。
ホセのソロから始まり,短いカルメンのソロ,2人の踊りが幸福そうなのと,不穏なの感じが最後には熱い交歓になるのと2曲・・・だったかしらん? 

ロホが新国の『コッペリア』に客演すると聞いたときも驚きましたが,今回の『カルメン』にはもっと驚きました。
だって・・・ほかの版ならいざしらず,プティのカルメンは,あの黒のビスチエを着るわけで・・・うーむ,大丈夫か? よくプティが許可したなぁ? と。

で,実際見てみたところ,プティがOKを出した理由は理解できました。両足ポアントで立つときの脚のライン(甲の出方)なんか,とてもキレイですもんね。
が,ワタクシ的には,脚線美より全身のプロポーション。この点,やはり予想通り,「全然大丈夫でない」に該当しておりました。

雰囲気的には,黒い瞳が冴え冴えとした冷たい存在,という感じ。ファム・ファタール性は感じられるのですが,それは,カルメンが持っているであろう性的魅力とは全然違う種類のものであって・・・ほら,えーと,そうですねー・・・同じプティでも,例えば『若者と死』なんかのほうが似合うのではないでしょーか?(衣裳も長いスカートだしー)

ボネッリは,普通にはかっこよかったですが,この方,基本的に「陽気なイタリア男」なのかしらん? 翳のないダンサーが無理して伊達男を演じている・・・という感じでありました。


『ダンス組曲』
振付:ジェローム・ロビンズ  音楽:J.S.バッハ
ニコラ・ル・リッシュ

初めて見た作品。
すばらしかったです♪

バッハの無伴奏チェロ組曲の中から4曲を使っていて,チェロ奏者も舞台上にいます。ダンサーとのかけあい・・・まではいかないまでも,そこはかとない交流はある感じ。今回のチェリストは女性の方でしたが,男性同士だとまた違った感じになるのかな? 

衣裳の襟ぐりの後ろを持って上に引っ張ってみるとか,でんぐり返しをしてみるとか,そんな動きも入っているのですが,ル・リッシュは「自由自在」という感じ。振付があって踊っているのではなく,音楽と戯れながら,心の赴くまま踊っているかのよう。
見ていて嬉しくなっちゃう踊りでした。
すばらしいダンサーですよね,彼。(←なにを今さら)

衣裳は上下とも赤のスウェットみたいに見えました。踊りやすそうではありますが,何ともダサイ。
が,そのダサさもこの作品の魅力なのでしょう。見ているうちに,あのでかいル・リッシュが,何とも可愛らしく見えてきました。(あ,髭は剃っていましたよ。←念のため)


『いにしえの祭り』
振付:ジョン・ノイマイヤー  音楽:リヒャルト・シュトラウス
エレーヌ・ブシェ/ティアゴ・ボァディン

出征前の最後の夜会での男女を描いた1幕作品の一部。昨年初演された作品だそうです。
女性は大きくスリットの入った赤いロングドレス。男性は,白いブラウスに黒いベストとズボンだったかな?

デュエットが3曲踊られました。全くの推測ですが,全体の上演のときは,別々の3組のカップルが踊ったんじゃないかしら?

最初は,切ない雰囲気のある踊りで,いかにも別れの時刻が迫っているカップルという感じ。
次は,戦争が始まる前の回想シーンなのかしらん? 若々しくて幸福感溢れる踊りでした。
最後は,民族舞踊を取り入れた振付。同郷の2人が,首都に出てくる前,大人になる直前の学生時代を振り返りながら,ちょっと楽しく踊ってみました・・・という感じでしょうか? どこの国(地方)の踊りなのかしらん? 腕の形がチャルダッシュに似ていた?? 

・・・と書いたところで,考え込んでしまったのですが,この作品,第二次世界大戦中という設定だそうですが,いったい舞台はどこの国なのかしらん?
ハンブルク・バレエの作品ですから,連合国ではなく枢軸国のほうですよね,たぶん。ナチス・ドイツに実効支配されている東欧の国の青年たち・・・というのが私の気分には一番適うのですが,どうなんでしょう??(などと考えてしまう今日は,終戦記念日)

ブシェはゴージャスな美しさ。真紅のスリットから覗く脚の美しさと成熟した女らしさは格別でした。
黒い巻毛のボァディンについては,それほど強い印象は受けませんでしたが,難しそうなリフトもスムーズ。よいダンサーだなー,と。


『ジゼル』より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー  音楽:アドルフ・アダン
アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス

きれいでしたが,この作品の抜粋上演は難しいのだなー,と改めて思いました。
コール・ドはなかったものの,パ・ド・ドゥに加えて,アルブレヒトの登場シーンとラストのジゼルが消えていく場面を上演し,それでもなお物語性が生まれないのですから。

ルテスチュは,人間らしさを消した冷んやりとした雰囲気のジゼル。
アルブレヒトをかばう中に花占いのマイムが見えたり(←確信はない),ソロを踊りながら涙を流すマイムを見せていました。古式ゆかしいフランス風『ジゼル』ということでしょうか?
(ルディエールやゲランは見ているんだけど,あんなんあったかなー???)

マルティネスはエレガント。
登場シーンが申し分なく美しいのに,ナルシシズムが感じられないのが,たいへんよかったです。
でも,ラストにマネージュして見せるのはなぁ・・・。好みの問題なのは承知していますが,跳躍数回するヒマがあったら走れよ! と。(切迫感が失われるんですよねえ)

パートナーシップは・・・うーん・・・? 普通??
破綻はないのですが,感情の交感は全く感じられず。かといって,「霊となったジゼルは人間アルブレヒトには見えない」とか「ジゼルに出会ったというのは,苦しむアルブレヒトの幻影の中の出来事」等の解釈も見えず,互いに淡々と踊っているように見えました。(だから「物語性」がない,という感想になってしまう)

ルテスチュはやはり大柄なのですねえ。マルティネスのリフトには(「よっこらしょ」まではいかないが)「よいしょ」感がありました。


(第2部に続く予定)

  

  

2009年08月14日

世界バレエフェスティバル・ガラ

楽しかったですし、よい公演だったと思います。
5時開演。4部に分かれていて、おまけつきで終演は10時55分くらいだったかな。

簡単な感想を書きました。
やっぱり悪口もかなり言ってますので、その点はご注意を。

  
   
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2009年08月12日

バレフェス雑談

1 自分のサイト内を検索してみた結果,やはり『ベラ・フィギュラ』は初見と思われます。
衣裳に既視感があったのは,よくあるコンテンポラリーの衣裳だということなのか? それとも,写真を見ているからなのか??
実は,デュポン@上半身裸(or肌色のタンクトップ?)の赤いスカート というあやふやなイメージがあったのですが,それはまた別の作品なのかしらん???


2 同じく検索の結果,『アパルトマン』は初めて見たようです。
ああ,よかったわ〜。安心したわ〜。いくらなんでも全然覚えていないのでは,そろそろ老化が始まったのか? と悩まなくてはなりませんもん。


3 迂遠な薀蓄つーか。

唐突な話題転換ですが,なんでこんな古い話を覚えているかの背景説明として・・・小嶋直也さんは,1988年のヴァルナ国際コンクール・男性ジュニア部門でゴールドメダルを獲得しております。(ちなみに,2位はボリショイのクレフツォフ)

そのときのシニア男性の1位は2人おりまして,1人は以前世界バレエフェスにも登場した(10代半ばののヌニェスをパートナーとして連れてきたこともある)マクシミリアン・グエラ。もう1人は,ソ連のディミトリー・シムキン。

当時のダンスマガジン(月刊化以前,単行本扱いだった23号)によると,このシムキンさんはノボシビルスクのソリストで,身長が165センチしかないため,『白鳥』の道化や『天地創造』の悪魔などを踊るキャラクテール・ダンサーだということでした。
全ソ連邦コンクールで1位を得て国際コンクールに出場することになったものの,王子役はもちろんレパートリーの外。バジルやアリもこのコンクールで生まれて初めて踊ったとか。

で,「バレリーナの夫人との間に9か月の息子がある」という記載がありまして・・・そうですよね。たぶん,その息子さんが,ダニール・シムキン。

ダニールくんもお父さん同様かなり小柄に思われますが・・・世の中が変わってよかったですよね〜。


ところで,当時の記事を久しぶりに読んで「へー」だったのですが,女性ジュニア部門の第2位がグラチョーワでして,コンクールを取材した日本人批評家に「特に大きな欠点もないが表現力が弱い。教わった通り踊っているという感じ」などと書かれております。

その後の彼女の舞台を知る者からすると,びっくりするわけですが・・・飛躍的に進歩したということでしょうか・・・なんにせよ,古い雑誌を読むのは面白いものだなー,と思いましたです。
(今は場所ふさぎでも,後日は貴重になるだろうから,やはりバックナンバーは捨てないでおこう)


明日は,ガラを見にいきます。
個人的見どころ

1 ルテスチュ/マルティネスの『ジゼル』というのには意表を突かれましたが,そうですよね,フランス・バレエの象徴ですよね。

2 わーい♪ ヴィシニョーワ/マラーホフの『ダイヤモンド』をまた見られる♪

3 へ??? イレールが出るんですか???

  

  

2009年08月09日

世界バレエフェスティバルBプロ

楽しんできました。

『ベラ・フィギュラ』はもしかしたら前にも見てるのかなぁ? 衣裳に既視感が。
その一方で,見たことあると思っていた『アパルトマン』がとても新鮮でした。

休憩時間が少し長くなったのはいいのですが,休憩回数が減って,6組×3部になったのは不満です。パ・ド・ドゥを6つも続けて見せられると,印象が薄くなってしまうのですよねえ。ノイマイヤー作品の具体的記憶がほとんどないなんて,ああ,なんてもったいない。

前と同じように,4曲×4部に戻して,かつ,休憩時間はちゃんと確保していただきたいものです。
終演時刻が少しくらい遅くなったっていいじゃないのよ。多少冗長だっていいじゃないのよ。たっぷり〜長々〜と楽しむのがバレエフェス。ほかのガラとは違うんだから。ねえ。


さて,簡単な感想を書きました。明日以降も公演があるので,差し支えない方だけお読みください。
また,「簡単に書く」ということは,説明不足でより辛辣になるということでもあるので,その点はご注意くださいね。

   
  


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2006年09月03日

更新記録

世界バレエフェスの感想を載せました。
といっても,Aプロはここに書いたものがだいたいそのまま。
Bプロは,書き足したので手間がかかって第2部までとなっております。

よかったら読んでね。

  

  

2006年08月16日

昨日書いたことは,

かなり誤解を招く書き方でしたね。すみません。
コメントを頂いたので,補足説明しておきました。よかったら読んでね。


突如として思い出したこと。
ヴァルデス/フロメテのBプロ『ディアナとアクティオン』のコーダで,女性がフェッテを続けている背後から男性が近づいて,そのままサポートに入る場面がありました。

「お,これも超絶技巧。でも,なんか最近見たよなあ?」と気になっていたのですが・・・あ,そうだった。マールイの「親子バレエまつり」で見たんだわ。
ペレン/シェミウノフの,まさに『ディアナとアクティオン』で見た。

ということは・・・あれが,ワガノワによるデフォルトの振付なのだろうか?

ルジマトフ@アクティオン役の第一人者 は,ああいうことはやっていなかったと思う。ただ,彼の場合,特にサポート関係は「正しい振付」でやっているかどうかわかんないのよね。
もう1人の,アクティオン役の第一人者のカレーニョは・・・やってなかったよねえ,たしか。
ほかにも,何組か見ていると思うが・・・あったかなぁ,あんなの?


突如話を変えます。

小嶋さんについて「見とけばよかった。見ようと思えば見られたのになんで見なかったかなぁ。(しくしく)」というパ・ド・ドゥは山ほどあります。
代表的なのは『海賊』で,これはさー,見たら絶対幻滅すると思ったのよ。若き日のルジマトフの刷り込みは強烈ですもん。(今では,ルジマトフ本人が踊るアリに対してさえ「違う」感が出るくらいだ)

でも,やっぱり見とけばよかったよね。
ルジマトフに敵うわけないけど,見たら眉間に皺が寄るようなものだったかもしれないけど,絶対「きゃあああ」にはならなかったと思うけど,やっぱり見とけばよかった。
「男性ダンサーは30歳過ぎてからすばらしくなる」なんて,悠長なこと言っててはいけなかったんだよね,彼に関しては。(いや,実際,30過ぎてからすばらしくなったのも事実なんだけどね)


再び唐突に,話を『ディアナとアクティオン』に戻します。
あのですねー,これについては,小嶋さんが踊っている映像があるはずなんですよね。首都圏限定で,TV東京の「バレエ誕生」という番組で放送されたらしい。
でも,(なにしろ首都圏の番組でしたから)見たことがないのです。

あのー,あつかましくて恐縮ですが・・・録画テープをお持ちの方はいらっしゃいませんでしょーか? もしお持ちでしたら,貸していただけませんでしょーか? 

  

  

2006年08月15日

バレエフェス・ガラのざっとした感想(4部)

第4部

ルグリ,ロマン,フェリなどに対する感謝の記念品贈呈式(?)
プレゼンターは,もちろん佐々木専務理事です。

出番直前のダンサーを舞台に呼んで表彰したりしないで,準備に専念してもらったほうがよいのではないか,表彰は最後でいいのではないか,とは思いましたが・・・まあ,観客サービスというか,彼らをよく知らない観客にもその功績を知った上で鑑賞してもらうという意味はあるでしょうから,よいことかもしれませんね。

ルグリはアルマンの衣裳で登場。ロマンは黒の上下でした。フェリはオレンジっぽい赤のドレス(カクテルドレスかな)で,髪は既にジュリエット。

あと,ベジャールにも記念品を届けたとか,故ケヴァルの遺族にも送ったとか,照明や装置などの裏方さん5人にも送るとかいう話があった。
謎なのは,なぜにソトニコフまで記念品の対象だったのか,なんだけど・・・? 私の記憶では,前々回まではケヴァル1人で指揮をしていたけれど,かなりの高齢になりたいへんだから前回はソトニコフが加わった・・・という経緯なのですが,まだ2回目の人をなぜに?(もっと前から来てましたっけ???)


それから,佐々木さんは,自分の話すことについて,もっとちゃんと準備してくるべきでしょうね。メモなんかも作ったほうがいいのでは?

ウヴァーロフの消息だけ話して,アイシュバルトについて触れない。
デュポン/ルグリの演目変更の理由だけ話して,ステパネンコ/メルクリエフのほうの話はしない。コジョカル/コボーの『シンデレラ』が消えた説明もない。

中途半端で困りますわ。
いや,私自身がそういうことについて特に知りたかったわけではないのですが(ほんとうに知りたければ,NBSのカウンターで質問するもん),わざわざ立派な横幕まで作って表彰式を執り行っているのに,主催者の話がとっちらかっちゃっているというのが,なんか・・・。
もし私がNBSの職員でこの式典の担当者だったら「表彰式・専務スピーチ原稿(要旨)」くらい作って渡しますけどねえ。

それに,このタイミングでデュポンの膝の状態が悪いことを話したのはいかがなものか,と。
これによって『椿姫』がより感動的に見える方もいたかもしれないけれど・・・「大丈夫か?」が気になってしまう方もありますよね。(私はこっちに近い見方になってしまった)
終わった後で話せばいいのになー,と。そのほうがダンサーだってありがたいんじゃないかと思うんだけど・・・そうでもないのかしらん?


えーと,踊りと関係ない話が長くなってしまった。
第4部です。

オレリー・デュポン/マニュエル・ルグリ
『椿姫』より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン

↑に書いたように,デュポンの膝が「あわや休演」の状態で,『ソナチネ』のリハーサルなど到底できないので,Bプロと同じ演目としたそうです。それを聞いていたので,「もしやここは本来ドゥミ・ポアントではなくポアントで・・・?」などという雑念が入ってしまった。
そのせいもあったのかなー? 二人の踊りは,Bプロで見たときのほうが上手でスムーズに見えましたし,詩情もあったと思います。
でも,近くで見たら,ルグリが若かった〜。ちゃんと「年下の男」に見えた〜。感心した〜。


ジル・ロマン
『アダージェット』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:グスタフ・マーラー

すばらしかった。名作だし,ダンサーのすばらしさもある。
求めて,求めて,翻弄されて,求めて,最後のふとした瞬間にあっけなく手に入ったもの。それなのに,自分から手放してしまったもの。あれっていったいなんなのでしょうね? 私には,何回見てもわからないんだけど・・・。

 
アレッサンドラ・フェリ/ロバート・テューズリー
『ロミオとジュリエット』より“バルコニーのパ・パ・ドゥ”
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

うーん・・・ちょっと,前のを引きずりました。別にベジャールやロマンのファンというわけではないけれど,けっこう「きた」し・・・フェリに比べれば,ロマンへの思い入れのほうが強いのかもね。
愛らしくて情熱的なジュリエットと誠実そうなロミオでしたが,「ここでボッカを呼べたらすごかった」なんて,余計なことをつい考えちゃった。


ルシンダ・ダン/マシュー・ローレンス
『ドン・キホーテ』
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス

正統派。キトリとバジルの結婚式が執り行われました。だから衣裳も白基調だったのでしょうし,結婚式らしい「格」も感じられました。 
ただ,ガラの『ドンキ』としては「つまんねー」でしたわ。全幕の最後にこの踊りなら,全く不満はないですけれど。


おまけ
特に書かなくても皆さんご存知ですよね。

よくわかんないのは,フィナーレに「なにを着るか」なんだけど・・・。盛装する方と衣裳のままの方といて,私としては,この際全員私服にそろえていただきたい,と。

ダンサーの皆さんのドレスアップやドレスダウンって,すごく興味深いですよね。
ヴィシニョーワの「なんじゃこりゃ?」のワンピースとヘアスタイルの似合うこと,カワイイことと言ったらもう・・・感嘆。ステパネンコの背中の開き方もスゴかったし,フロメテのネクタイ姿も見ちゃったし・・・と考えると,衣裳のまま出てきたマジメな方々は「サービスが足りん」と言いたい気分になるのでした。


以上で,バレエフェスの話は一応終わりかな。
後日,サイト本体のほうに,Bプロとガラのちゃんとした感想を載せるつもりですので〜。

  

  

2006年08月14日

バレエフェス・ガラのざっとした感想(第3部まで)

第1部

レティシア・オリヴェイラ/ズデネク・コンヴァリーナ
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
振付:ジョージ・バランシン 
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

オリヴェイラは,作品に合わせて「表現する」バレリーナだとわかった。この作品ではちゃんと「若々しい恋」を表現。
コンヴァリーナは,音楽に間に合っていなかった。
この作品に必要な疾走感がない上演だったと思うけれど,普通にシンプルに踊ってくれるのを見て心和んだわ〜。


アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス
『水に流して』
振付:イヴァン・ファヴィエ
音楽:S・デュモン/M・ヴォケール/E・ピアフ

音楽が始まるまでは不穏な雰囲気なので,重い作品なのかと思ったけれど,踊り始めたら,キッチュでキュートでユーモラス。(その落差もうまいよね)
楽しかった。長すぎないのもよかった。


ガリーナ・ステパネンコ/アンドレイ・メリクーリエフ
『ライモンダ』
振付:マリウス・プティパ/ユーリー・グリゴローヴィチ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ

Aプロと同じ演目に変更。その替わり? ステパネンコは白く輝く衣裳で登場。このほうがほっそり見えて姫らしいかも。踊りはさすが。
メルクリエフは貫禄負けするし,ボリショイのダンサーには見えないけれど・・・まあ,当たり前か。勇壮さはないが,鋭さはあったから騎士には見えたし,きれいであった。


フィリップ・バランキエヴィッチ
『レ・ブルジョワ』
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ
音楽:ジャック・ブレル

3年前は楽しかったが,今回は「ふーん。なくてもいいや」と思いました。『水に流して』に負けちゃったのかな?
テンチコワとなにか踊ってくれたほうがよかったな。


マイヤ・マッカテリ/デヴィッド・マッカテリ
『海賊』
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ

この方たちは,衣裳の趣味がよろしいですね。メドーラの上半身濃紺でスカートがシルバーグレイで銀糸豪華刺繍のチュチュがとてもすてき。アリのほうは,トルコブルーのハーレムパンツという正統派だし。
踊りは中途半端というか,凡庸というか。物語性もなければ超絶技巧でもない。特に悪くもないが。



第2部

ディアナ・ヴィシニョーワ/ウラジーミル・マラーホフ
『眠れる森の美女』
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

キラキラ輝くロイヤルウエディングのオーロラと「運命の恋人」との逢瀬のデジレ。なんか噛みあっていないのでは? というより,「幻影の場」みたいにこの場面を踊るマラーホフが間違っているのでは??
美しかったが,うーむ,二人とも調子よくなかったかも?


アレクサンドル・リアブコ/イヴァン・ウルバン
『作品100―モーリスのために』
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:サイモン&ガーファンクル

昨日書いたとおり,感動しまくった演目。
ウルバンのほうが「お兄さん」役に見えたから,こちらがベジャールでリアブコがノイマイヤーなのかな? そういう役割分担(?)はないのかな? 


イリーナ・ドヴォロヴェンコ/ホセ・カレーニョ
『くるみ割り人形』
振付:レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

きれいだった。
上下白の王子様衣裳のカレーニョを初めて見たような気がした。豪華さは足りなかったが,記憶にとどめておくようにしよう。


タマラ・ロホ/イナキ・ウルレザーガ
『エスメラルダ』
振付:M・プティパ/B・スティーヴンソン
音楽:チェーザレ・プーニ

ウルレザーガの衣裳にブラヴォ(笑) すごくすっきり見えた。ロホのほうは普通だが,このパ・ド・ドゥで緑とは珍しい。
ロホのバランスと回転は見事だが,このパ・ド・ドゥはタンバリンのヴァリアシオンの印象が決め手だと思うなぁ。彼女向きではないのでは?



第3部

シルヴィ・ギエム/ニコラ・ル・リッシュ/東京バレエ団
『白鳥の湖』第2幕より
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

神妙かつ丁寧に踊られたオデット。席が前方すぎたのが悪かった。ギエムの肩の辺りの男らしさ,それ以上に彼女の意思的なお顔立ちに妨げられて,白鳥に見えず。引き込まれず。
ル・リッシュは包容力あるジークフリート。


ポリーナ・セミオノワ/フリーデマン・フォーゲル
『些細なこと』−世界初演−
振付:クリスチャン・シュプック
音楽:梅林茂

ユニゾンあり,フォーサイス風ありで,暗い中で踊られるトウシューズのコンテンポラリー・バレエ。なにが「些細なこと」なのかは意味不明だが,飽きないで見られた。
よい作品かはわからないが,音楽を含めて悪くはないのでは?


アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー
『スターズ・アンド・ストライプス』
振付:ジョージ・バランシン 
音楽:ジョン・フィリップ・スーザ  

二人ともたいへん上手でよかったとは思うのだが,このパ・ド・ドゥの主旨についていつもどおり悩む・・・。
やっぱりコメディ(パロディ)なのかなー? だとしたら,コボーは名演。今まで見た中で一番笑えた。


レティシア・オリヴェイラ/ズデネク・コンヴァリーナ
『新世界』
振付:エディー・トゥーサン
音楽:アントニン・ドヴォルザーク

長すぎた。振付も,たいしたことないというか,ありがちというか。
オリヴェイラはやはり表現力があると思うが,それだけで保たせることができるほどではないような。


ヴィエングセイ・ヴァルデス/ロメル・フロメタ
『白鳥の湖』より黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

昨日書いたとおり。今回一番の問題作だと思う。気に入ったわけではないけれど,興味深い。彼らの全幕を是非見たい。
ただ,ヴァルデスには,ギエム同様プロポーションが男らしいという欠点があるから,白鳥はダメかなぁ。
フロメテは近くで見たらハンサムだったわ〜。洗練はこれからだけど,要チェック♪ 次の来日も見にいこうっと。


力尽きました。
第4部については,明日以降に〜。

  

  

2006年08月13日

世界バレエフェス・ガラ

よい公演でした。
おまけも楽しみました。

でも,不愉快なこともあった。舞台に登場した佐々木さんの話の中の表現の・・・たぶん,枝葉末節なんでしょうね。気にならない方も多いだろうし,面白く感じた方もいるかもしれない。
具体的に書いて拡大再生産するのもいやだから,あとでNBSに手紙でも書くことにしますが・・・でも,私はものすごく不愉快だった。

って,思わせぶりに書くのはよくないんだよな。(ダンサーとは関係ない件です。新国とも関係ない。←念のため)
はっきり内容を書かないで佐々木さんの悪口を言うのでは,私も佐々木さんと似たようなことをしていることになっちゃうなぁ。
でも,日記だから,書いておきました。



今日の「私の一番」は,ハンブルクのリアブコ&ウルバンが踊った『作品100〜モーリスのために』でした。
10年前,ベジャールの70歳のガラのために作ったもので,ノイマイヤーの100作目の作品なんですって。

むやみに感動しちゃって,見ながら涙ぐんじゃったわよ。

音楽の力もあった。
サイモン&ガーファンクルなんだよね。『明日に架ける橋』なんだよね。私の年齢だと「ああ,懐かしき青春」にちょっとなる。ノイマイヤーもそうなのかなぁ?

曲の間に(ノイマイヤー自身の?)フランス語の朗読が入って,プログラム(今日だけで500円もするのだ)に訳が載っているんだけど,これがもー,ベタなんだわ。

【引用】
感動で胸が一杯です。
今も昔もあなたはやはりあなた。
私はずっと前からあなたが好きでした。
あなたは随分変わったようにみえます。
いや,全然変わっていない。
私はあなたが好きでした。

あなたが好きです。
【引用終わり】

ね,すごいでしょ? 恥ずかしいでしょ? フランス語だから平気だけど,日本語だったら逃げ出したくなるような率直さ。
これを,あの,難解なる自作解説を常とするノイマイヤーが書いたわけよ,たぶん。

そして,男性2人が踊る。
振付は,私はベジャールのよい観客ではないのではっきりはわからないけれど,ベジャール風だと思いました。あるいは,ベジャールの語彙を取り入れている?

そういう作品を,ベジャールが80歳になった10年後の今年,「モーリスのよき友人」である佐々木さんがプロデュースする催しの30周年記念に選ぶ。
ウルバンなんて,この1回だけ踊るために来てるんだから。

ノイマイヤーのファンとしては(←是々非々ではありますが,それなりにファンです。振付家として好きか? は少々微妙だけれど,演出家としては大好き),これに感動しないでなにに感動するか? という感じですよね。
見事に乗せられて,清らかな涙を流しましたよ,私は。(涙腺が弱ってるのを再確認。やだねえ)

うーん,よかったな〜。また見たいな〜。明日もう一度見たいな〜。
(ほかにも,「また見られたら嬉しい」ものはあったけれど,明日見たいとまでは・・・。だから,「今日の一番」はコレなのよ)



あとは,キューバのヴァルデス/フロメタの黒鳥パ・ド・ドゥにびっくり仰天。驚天動地。

技巧の誇示もさることながら,「やりすぎ」どころか「あざとい」と言いたいくらいに多々芝居を盛り込んで(=オディールが普通の倍くらい演技をして,さらにロットバルトの分まで代行して=合計3倍),王子を欺して陥落させる。
衣裳の色とか装飾も,悪趣味と言いたいくらいのオディールなのよ。

王子のほうも,黒いタイツに上半身は赤で,これだけでびっくりしちゃうし,普通ヴァージョンの2倍くらい,正気とオディールの間で行きつ戻りつする。

もんのすごくドラマチックというか,もんのすごくわかりやすいというか・・・いや,やっぱり下品と貶すべきか・・・悩む。

結論
この2人のガラ仕様なのか,キューバ国立のデフォルトがこうなのかわかりませんが・・・世界の裏側(?)には,まだ知らないバレエの世界があった,と。
(たぶん,10年以上前に来日したけど,私,見てないんだよね。『ジゼル』なんかやったと思うんだけど)

NBSさん,是非キューバ国立を招聘して,このおっそろしい『白鳥』の全幕を見せてくださいな〜。(いや,光藍社でもジャパンアーツでもいいですよ〜)

  

  

2006年08月12日

世界バレエフェス Bプロ

簡潔に感想行きまーす。
なお,私の場合,「簡潔に」ということは「説明不足の言い放題」の傾向がありますので,その点はご注意くださいね〜。


ヴィエングセイ・ヴァルデス/ロメル・フロメタ
「ディアナとアクティオン」

フロメテの瞬発力と柔軟性,そして王子な立居振舞♪(フィナーレの手ぬぐい投げを見ると,キューバの野球の強さが納得できる)
バランス名人は重心が低いのであろうか?(←仮説) 軽やかさ不足のディアナではあったが,今日も超絶技巧多々で楽しかった。


エレーナ・テンチコワ/フィリップ・パランキエヴィッチ
「リーズの結婚」

ドイツ訛りのアシュトン。・・・それとも私が,日本訛りのアシュトンにスポイルされちゃってるのか?(悩)


ジョエル・ブーローニュ/アレクサンドル・リアブコ
「幻想−『白鳥の湖』のように」

ノイマイヤーはすばらしいっっっ。
ブーローニュは情感があって美しいバレリーナ。来てくれてありがとう♪ リアブコは予想より狂王のいでたちが似合った。
「影」はいたほうがよいと思うのだが・・・ウルバンには頼めなかったのだろーか?


イリーナ・ドヴォロヴェンコ/ホセ・カレーニョ
「海賊」

見せ方を心得た「プリマのメドーラ」だが,ちと見得を切りすぎかも。
カレーニョはむやみに優美な海賊。(ちょっと感動した)
それにしても,ABTのアリの衣裳はヘンだよねえ。


マイヤ・マッカテリ/デヴィッド・マッカテリ
「ロミオとジュリエット」より“バルコニーのパ・ド・ドゥ”

妹さんは,軽やかで清純派のジュリエット。ラブロフスキー版に合っていました。
お兄さんは,甘さがないから,ロミオというよりティボルト向き?


ガリーナ・ステパネンコ/アンドレイ・メルクーリエフ
「カルメン」

ステパネンコは貫禄はあるが,うーむ,カルメンとは違うような?(悩)
メルクーリエフは黒髪にすると人相が悪くなるのを発見。(踊りはよかった)


アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

このパ・ド・ドゥって,こんなにパを変えていいものなの???(呆然) 3年前にコレーラの悪口を言ったのを深く反省。コボーの改変はあの比ではない。(ブルノンヴィルなバランシン)


ポリーナ・セミオノワ/フリーデマン・フォーゲル
「白鳥の湖」より“黒鳥のパ・ド・ドゥ

セミオノワは邪悪で狡猾な猛禽。見事♪
フォーゲルは,プティパを踊るべきではない。(あれでいいなら,マールイのシェミウノフこそバレエフェスでスターになれる)


ルシンダ・ダン/マシュー・ローレンス
「眠れる森の美女」

ルシンダさんにブラヴォ♪ 小粒ではあるけれど,技術も表現も安定した「プリマ・バレリーナのオーロラ」でした。もっと踊れるパートナーがいると,もっとよいですね。(端正だから悪くはないが)


オレリー・デュポン/マニュエル・ルグリ
「椿姫」より第2幕のパ・ド・ドゥ

美しかった〜♪
「ハイミスと妻子持ちの男のひと夏の恋」に見えたが,それでもいいよね。すてきだったから。


ディアナ・ヴィシニョーワ/ウラジーミル・マラーホフ
「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”

期待に違わぬドラマチックなバランシン。堪能しました。
ワロージャさんが「ソロがないほうがうっとりできるダンサー」になっちゃったのは少し切ないけれど,でも,美しい人だよねえ。


ジル・ロマン/那須野圭右
「孤独」

よかったです。プログラムかキャスト表の裏で,シャンソンの歌詞か概要を教えてくれると,もっとよかったかも。
那須野さんは,フィナーレにまで出てくるなら,うちかけの裾捌きをなんとかするように。(日本も野球は強いんだよね)


シルヴィ・ギエム/ニコラ・ル・リッシュ
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ

迫力があって引き込まれたけれど,これも違うストーリーだなぁ。
存在感がありすぎて「あら,夏風邪?」程度にしか見えないマルグリットと包容力ある大人のアルマンによる,追いつ追われつのラブシーン。


アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス
「ドリーブ組曲」

のどかな音楽に振り付けたのどかなパ・ド・ドゥ。
「回転は左右両方できるように練習しましょう」みたいな趣もあって,バレエ学校用に作ったのかと思ったら,若手ダンサーの公演用だったんですね。当たらずといえども遠からず。(←違う?)


タマラ・ロホ/イナキ・ウルレザーガ
「三人姉妹」

ロホの肉感的な上半身が「田舎暮らしの倦怠期の人妻」像に非常に説得力を与えていました。表現力のあるバレリーナなのもよくわかった。
ウルレザーガは,将校ではなく一兵卒に見えたが,よかったとは思う。(ちょっと見直した)


アレッサンドラ・フェリ/ロバート・テューズリー
「マノン」より“沼地のパ・ド・ドゥ”

フェリの瀕死演技は見事だが,顔の演技で口を開けすぎるのが苦手。
テューズリーは,男らしくて頼もしいデ・グリュー。熱演でした。(かなり見直した)


レティシア・オリヴェイラ/ズデネク・コンヴァリーナ
「ドン・キホーテ」

「ジプシー娘?」なアクの強いキトリと「普通程度にかっこいい」バジルによる「恋の駆け引き」ヴァージョン。結婚式には見えないけれど,ガラ公演らしくて楽しめました。ぐらつく長いバランスを行わないほうが,もっとよかったとは思うけど。
二人とも芝居っ気があって,カーテンコールまでキトリとバジルでした。

  

  

2006年08月11日

世界バレエフェスティバル プログラムA(第4部)

第4部

『カルメン』
振付:ローラン・プティ
音楽:ジョルジュ・ビゼー
アレッサンドラ・フェリ/ロバート・テューズリー

一夜が明けた寝室での場面のデュエットのみの上演でした。
最初のホセのソロとこの場面直前のカルメンのソロをやってからこの場面につなげるのが普通だと思うんだけど・・・あれ? カルメンのソロはありましたっけ? なかったよね?(記憶が・・・)

フェリの衣裳はもちろん黒のビスチエですし,ヘアはショートカット。初演者のジャンメールと同じ姿でした。(衣裳は決まっていますが,髪はアップで出てくる方が多いですよね。フェリ自身が6年前? に踊ったときもそうだったと思う)
そして,調整がうまくいったのでしょうね,『こうもり』のときより細く見えたから,脚線美もいっそう見事だし,動きの輪郭もシャープに見えました。輝きも増していたと思いますし。

私,彼女のプティ版カルメンは,全幕(1幕ものだけど)も見たし,ガラでも何回か見ましたが・・・今回初めて,素直に感心することができました。
なんかねー,今までは「どう? 妖艶でしょ? チャーミングでしょ?」って迫られているような気分になっちゃって,引き込まれなかったのよ。
彼女が枯れて,そういう余計なものを出さなくなったのか,こっちの気分が素直になったのかわかりませんが・・・うん,今回はとてもよかった。

美しかったし,脚が語るし,なにより,清潔感があった。

・・・カルメンに「清潔感」はヘン? でも,そう思ったのよ。
プティの『カルメン』は,情念とか土着とか・・・そういう言葉と縁遠い世界ですよね。その縁遠さが「清潔感」である,と。
うーん・・・ちょっと違うかな。

えーと,私は,ジジ・ジャンメールの舞台は見たことがないのですが,(主として,このフェスティバルのおかげで)ドミニク・カルフーニの舞台は何回か見ました。
カルフーニは,まさに「清潔感」のあるバレリーナでした。そして,今回のフェリに,それと共通するものを感じたのでした。
・・・やっぱりちょっと違うかもしれないけれど,たぶん,そういうこと。

テューズリーは,影が薄かったですが・・・これは相手がフェリだし,ソロなしの構成だったせいもあるかと思います。(私が彼に興味がないせいもあるでしょうね)
あ,髪は黒く染めていました。



『TWO』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン
シルヴィ・ギエム

見るのは2回目ですが・・・つまんなかったというか,期待外れというか。

舞台中央の2メートル四方だけが照明で薄明るくなっていて,ダンサーは,跳躍も回転もなしでその中で踊る。周囲の暗闇との境目は数十センチの幅で一際明るくなっていて,そこを手や足が通ると,そこだけが明るく輝き,残像効果も生まれる。

去年の暮れに彼女+東バの『ボレロ』プロで見たときは,最初はなんだかわかんなくて,段々と手や足にスポットが当たる(手や足がスポットの下を通る)頻度が高まっていって,それにつれて,こちらの注意も引きつけられていったの。
そして,最後のあれは腕の回転だったのかな? 光の残像が連なって,彼女の周囲に,刻々と変化する光の輪ができたように見えて,「要するに照明効果ね」なんて論評しつつも「神秘的な現象を見た」ときに準じる厳粛な気分にもなったのですわ。

ところが,今回は最後の「光の輪」がなかった。
座席位置の関係でそう見えなかったのか,振付が変わったのかはわかりませんが・・・がっかりしちゃった。
あれがないとつまんないなぁ,と思いましたです。



『ベジャールさんとの出会い』 世界初演
振付:モーリス・ベジャール
音楽:グルック/ショパン/アルゼンチン・タンゴ/アンリ
ジル・ロマン
那須野圭右/長瀬直義

ベジャール自身が初演した4つの作品をモチーフにした新作だそうです。那須野さんと長瀬さんは,小道具を運ぶ黒子として登場。

ロマンが最初は竪琴を持っていたから,これは『オルフェ』なのでありましょう。(全然知らない作品)
次に,綱が天井から降ってきたので『孤独な男のためのシンフォニー』かな? と思いました。(パトリック・デュポンの舞台写真の印象が強烈なので覚えている) でも,音楽の感じが違うかな? と思っていたら・・・

間髪を入れず黒子登場。しゃれこうべを持ってきたので,『ハムレット』なのを了解。(これは,ロマン自身が踊るのを見ました。←ちょっと自慢)
そうこうするうち,音楽がアルゼンチンタンゴに。『我々のファウスト』ではアルゼンチンタンゴが使われたと聞いたので,たぶんそうでしょう。タンゴで踊るのはメフィストだったかなぁ?? で,意外にユーモラスな踊りなので驚いた。もっと凶々しいんだと思い込んでたのよ。

最後は,再び綱が下りてきて・・・今度の音楽は,たぶん間違いない。「ミュージック・コンクレート」だよね,あれはきっと。

・・・というような感じで,「ふむふむ」と見ました。
こういう見方が正しいのかどうかは大いに疑問ですが・・・ベジャールというのは,私にとっては,こういうふうに「ふむふむ」と見ることが多いものなのですよね。



『マノン』より“沼地のパ・ド・ドゥ”
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ディアナ・ヴィシニョーワ/ウラジーミル・マラーホフ

すばらしかった。「世紀の名演」と誉めたいくらい。
こっちの精神状態のせいもあったのかもしれないけれど,それはもう,すばらしかった。

登場シーンがすばらしい。
憔悴しきったデ・グリューの姿。
私は,マラーホフは「焦燥と惑乱と悲嘆の王子様」だと思っていますから,この場面のデ・グリューが似合うのはわかっていました。
でも,想像以上だった。具体的になにがどうだったのか忘れてしまったけれど,でも,舞台に出てくるだけで,あんなに胸を打つ姿って。
彼以上に,この場面が似合うダンサーはいない。

そして,マノンは,デ・グリューに頼り切っている。
「全き生命力のプリマ」ヴィシニョーワのこのシーンに関しては,「絶対死にそうに見えないよねえ。どうするんだろ?」なんて思っていたのですが,あ,そうか。「愛」なんだ。
当たり前かもしれないけれど,デ・グリューへの愛。最後に残ったのは,それだけ。デ・グリューだけしか見えない。そういう様子に見えました。

中央での踊りになって・・・ヴィシニョーワの身体能力と技術は,マノン役に最適なのだ,とわかりました。あるいは,身体能力と技術の使い方が最適なのかも。(より優れているのかもしれないギエムはしなかったことだから)

女性が駆け寄ってくる勢いを利用して男性の頭上で何回転もするリフトがこの場面の特徴なわけですが・・・ヴィシニョーワは助走しない。助走に見せないで,よろよろしながらデ・グリューを求めて近づいていって,そして,あの難しそうなリフトは見事で,空中での彼女の腕や脚の動きは美しい。
その腕や脚の軌跡に,私は「燃え上がる愛」を見ました。

たぶん,死んでいくマノンは幸福だったに違いない。
弱っていく中で,遠のく意識の中で,求めていたのはデ・グリューだけ。そして,そこに彼はいるのですから,今抱きしめられているのですから,幸福の絶頂。
だから,彼女の死に顔は穏やかで。

もちろん残されたデ・グリューは,この上なく悲痛。
このまま彼も死んでしまえば,たぶんそのほうがいいのかも・・・。マノンが幸せに死んでいったことを,彼がわかればいいけれど・・・。

とても感動的でした。
あの短い場面だけでドラマだった。全幕を見るのと同じくらい説得力があった。すばらしかった。
そう思います。



『ドン・キホーテ』
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ヴィエングセイ・ヴァルデス/ロメル・フロメタ

いやー,ほんっっっとにすごかったわ〜〜〜〜。

世界バレエフェスティバルでは,毎回のトリは『ドン・キホーテ』と決まっています。『ドンキ』の上演がないときは別として,誰かが踊れば必ず最後。

以前,佐々木さんのインタビューで知ったところによると,「我こそは」のスターが山ほど集まるこの催しにおいて「トリを誰にするか」はひっじょーに微妙&解決困難な課題なので,それを避ける方策なのだそうです。
まことにもっともな解決策で,佐々木さんのプロデューサー(インプレサッリオ?)としての有能さを示す話だと思いますが,時として,「なんでこの人たちで終わる???」になるのも事実。
でも,このプログラムに関しては,大成功だったと思います。


超絶技巧です。
特に,アダージオでのヴァルデスのバランス。

通常長いバランスに入る前の,パートナーの「位置どりOK? 体制OK?」の段取り抜きで,ささっとバランスに入る。(ように見える)
ポーズを保つ時間が長い。
さらに,ポーズを変える。あまりのことに覚えていないけれど,アラベスクからルティレとか,ルティレからアティチュードとか。たぶん,アラベスク→ルティレ→アティチュードなんかもあった。

それだけではない。
最初の片手リフトも長かったし,次は,片手でリフトしたまま「すたすた」と舞台を横切ってみせた。
普通は男性の両手の中で長くピルエットを続けるところで,フロメタは片手を外して空いた右手でポーズをとり,ヴァルデスは軸が傾く気配もなく回り続けた。(こういうの,初めて見たと思う)
アダージオ最後のフィッシュは,上に放り投げて,ヴァルデスが空中で開脚してから。(投げ上げる技だけなら,ロシアのテクニシャンで何回か見ました。でも,空中であんな派手なポーズを見せたのは初めてだなー)

・・・というスゴさなので,ヴァリアシオンやコーダは(かなりすごいのに)普通に見えてしまったかも〜。
あ,コーダのフェッテは,前半がすべてダブルでしたね。


以上がテクニックの記録なのですが,この2人がすばらしかったのは,このような超難技を披露しながら,「きれい」だったことです。
長ーいけれどぐらつくバランスとか,片手リフトしながら「おっとっと」と移動するとか・・・が全くないのはもちろん,全体として品がいい。

雰囲気もいいです。
ヴァルデスは,ヴィシニョーワから「魔性」を取り除いた感じのお顔立ちで,スペイン娘がよくお似合い。
フロメテは,カレーニョ系? アフリカ系? の容姿で,あまり背が高くないし,愛嬌があってカワイイ感じ。
「お熱い」カップルではないですが,全幕で見たら,旅籠の看板娘で町の人気者のキトリさんとその後をついて回っているバジルくんになるんじゃないかなー,と想像。

二人とも「どうだっ,見たかっ」ではなくて,観客を喜ばせるため共同作業を行っている感じで,たいへん好ましいです。特に,バランスで拍手が出る度に,ヴァルデスがいかにも嬉しそうな笑顔になるので,なんだかこっちまで嬉しくなっちゃった。
うん,単なる超絶技巧披露じゃなくて,観客を幸福にしてくれる,とてもよい上演だったと思いますよ〜。好きだわ〜。

あと,フロメテは,バジルにするには惜しいくらい(?)エレガントですね。
柔らかな身体を反らしての決めポーズなんかはたしかにバジル向きですが,あの柔らかな指先は王子向きだな〜。滞空時間の長い跳躍と歯切れのいい回転はどちらにも必要なものだし,ダンスールノーブル役もよいかも〜。
・・・と思ったら,ガラ・プロは黒鳥なんですね。楽しみ。


やれやれ,やっと終わった。
途中までどんよりしながら見てたくせに,やたらに長いね。あはは。

では,Bプロ&ガラに向けて,今から出発いたしますー。

  

  

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