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2010年05月22日

マラーホフの贈り物Bプロ

見たことのない作品が多くて楽しかったですが,もうちょっとバレエな雰囲気の,あるいはロマンチックとかドラマチックとかの雰囲気の衣裳で踊る作品が多いともっと嬉しかったかも。

とにかくですねー,おっそろしく衣裳の露出度が高いプログラム構成でありました。
最初の『カラヴァッジオ』1幕パ・ド・ドゥが板付きのマラーホフの半裸で始まったときは,「のっけからサービスいいなぁ♪」気分だったのですが,その後の作品も「衣裳は最小限」系が多く。

なにせ唯一の古典が『ディアナとアクティオン』だし,ロメオだって薄いブラウス1枚だし,残りの現代モノは,基本的に上半身は裸。レオタード姿だった『ファンファーレLX』が一番肉体を隠していた感じ?

マラーホフも,ソロルのときはもちろん着込んでいましたが,それだって,王子役に比べれば・・・ですし,1幕最後にサービスしてくれた『瀕死』も最後の『ラクリモーサ』も半裸。(必然的にフィナーレも)

西洋人男性ダンサーの肉体美というものも,これくらい続くと有り難味が失われてしまうのだなー,もったいないことだなー,と慨嘆したことでした。

それはそれとして,半裸の男性の群れの中,マラーホフの佇まいの美しさはやはり際だっておりました。(すばらしい♪)


他のダンサーでは,シュツットガルトのアイシュヴァルトに「別格」感がありました。アクロバティックなコンテンポラリー・パ・ド・ドゥと可憐なジュリエットと,全然傾向の違う2作品をそれぞれ見事に表現。
レンスキーで見たときは「いったいどこがいいのだ???」だったラドメイカーも,今日はよかったです。特に、髪を固めてマッチョな肉体を誇示した『モノ・リサ』が面白かったし,かっこよくもありました。

ベルリンのダンサーの中では,クノッブとカブレラ。2人とも,現代作品がよかったです。
カブレラは柔軟性,特にしなやかな脚の表情に引き込まれました。

クノッブは,長身なのに全身にコントロールが行き届き,その結果身体全体から陰影が生まれ,それがドラマにつながる・・・という印象。(同じ『カラヴァッジオ』からのパ・ド・ドゥを踊るときの身体の雄弁さが,セミオノワとは段違いに思われました)


『バヤデルカ』影の王国でのマラーホフのサポートと表現は,たいそう見事でした。
大柄なセミオノワをリフトから下ろすときの絹のような柔らかさ。手をとるときの壊れ物を扱うかのような繊細さ。随所で見せる上半身を反らしたポーズはソロルのニキヤへの想いの表出。

そして,コーダでの男性パートは省略されており,そのことに少し気落ちしました。
1回の公演で4作品も踊る座長に,それも40歳を超えたダンサーに,そのことをもって文句を言うのは理不尽だとは思うのですが・・・でも(ほかの作品で見られなかっただけに)ソロルのマネージュを見たかったし,それ以上に,そのパートを回避するという事実は少しショックでしたから。

埋め合わせは,フィナーレの最後に見せてもらいました。
男性2人がジュテで舞台を斜めに横切り,残る2人がグラン・ピルエット。続いてサレンコの7〜8回転の後,女性ダンサーたちが次々とピケを見せて・・・最後に上手奥から登場したマラーホフの下手前までの高速ジュテ。最後は,かつて『ナルシス』で見せたような形で,袖に引っ込んでいきました。


本日は以上。
明日以降,詳細に感想を書きたいですが,最近の状況からするとあやしですよねえ。
ま,一応努力する,ということで。

  

  

2008年02月17日

マラーホフの贈り物 プログラム

その話の前に,サイト表紙のカウンターが80万を超えました。
皆さま,いつもどうもです〜。


本題:「マラーホフの贈り物」のプログラムについての記録

マラーホフ本人のごあいさつ文
マラーホフのバイオグラフィー
長野由紀さんによるマラーホフの魅力の解説
「ウラジーミル・マラーホフの軌跡〜日本での舞台を中心に」
出演ダンサー・東京バレエ団のバイオグラフィー
作品解説
吉田裕さんによる他の7人の出演者の魅力紹介

日本におけるマラーホフの舞台歴が整理されていて便利です。
冒頭のマラーホフのあいさつ文によると,彼は今回の公演をベジャールに捧げるものと位置づけているようなのですが・・・それなのに『これが死か』の上演が実現しなかったのは皮肉なことですねえ。


さて,2/10のAプロの感想を書きましたので〜。

  

  

2008年02月10日

「マラーホフの贈り物」Aプロ

ついでと言ってはなんですが・・・昨日の発表会の終了時刻の関係で昨日は東京泊まりでしたので,今日は五反田ゆうぽうとへ。

簡単な感想

マラーホフのジークフリートは絶品。すばらしー♪

2幕(湖畔の場)だけの上演なのに,どういう育ちでどういう人柄なのかが至極明瞭に浮び上がってきました。
で,それがですねー,前に見た彼のジークフリートとはかなり違っておりまして,ちょっとした衝撃。(いったいいつ見たのだろう?)

この後,舞踏会ではどんなジークフリートなのかしら〜? 結末はどうなるのかしら〜? と大いに想像力を刺激される人物造詣。
次に彼が日本で『白鳥』全幕を踊る機会があれば,是非見にいきたい,見ておかなくっちゃ,と思いました。
ブラヴォ♪


あとは,アレクサンドロワのカルメンですね〜。

めちゃくちゃかっこよくて,惚れ惚れしました。
警官崩れだか小役人のなれの果てだかの男とどうこうするのはさっさと切り上げて,大統領選挙に出馬してほしい,と思いましたです。


詳しくは後日〜。

  

  

2008年02月01日

バレエ界の貴公子よりプレゼント!

というタイトルのメールがイープラスから来ました。
マラーホフの公演の当日引換えチケットを買うと,サイン付きプログラムが付いてくるそうです。(A席とB席)

サインを嬉しく思うような人は既にチケットを入手しているでしょうから,単純にプログラムだけおまけにつけても売行きは変わらないような気がしますなー。なにもマラーホフの仕事を増やさんでもよかろうに。

・・・とは思いますが,こちらです。
皆さんチェック済みかもしれませんが,マラーホフのバーレッスン風景とご挨拶の動画へのリンクもありましたよん。


ついでに。
明日は英ロイヤルの発売日ですね〜。
ぴあ/イープラス(『シルヴィア』『眠り』)/NBS


もう一つあった。
昨日発売だったそうですね。
B0012RQMMA総特集 モーリス・ベジャール 1927 ~ 2007 2008年 03月号 [雑誌]
新書館 2008-01-31

by G-Tools


フェアリーのこちらのページから内容を転記しておきますね。

ベジャール領
ジル・ロマン/坂東玉三郎/ジョン・ノイマイヤー/森下洋子/マニュエル・ルグリ/メイナ・ギールグッド/ウラジーミル・ワシーリエフ/小林十市/首藤康之/佐々木忠次/上野水香/溝下司朗/蜷川幸雄
ベジャール論
渡邉守章/尼ケ崎彬/新藤弘子/三浦雅士
ベジャールの言葉
バレエのエロスとタナトス/ベジャール、バレエ・リュスを語る
ニーチェ、ニジンスキー、ベジャール/ベジャール、<変化>を語る
ベジャール作品一覧/年譜

  

  

2008年01月30日

「マラーホフの贈り物」演目変更

だそうですね。
NBSのこちらのページ

『これが死か』は「ベジャール逝去にともなう諸般の状況から、ドイツ国外での上演許可が下りませんでした」とのことで,なるほど,そういうこともあるのでしょうねえ。
ほかの変更は,「マラーホフ本人の強い希望により」と書いてありますが,要するに,体調の関係だろうと思います。というか,そういう感じが匂わせてありますよね。

私は,Aプロだけで『牧神の午後』が最大のお目当てなので,これでも差し支えないのですが,うーむ,どうなんでしょう? 「ニジンスキーを踊る」をキャンセルした時点で,公演を半年なり1年なり延期したほうがよかったのではないでしょうかねえ。

まあ,結果論かもしれませんけれど・・・。
「マラーホフがカムバックを果たす本公演に、皆さまの温かいご支援をお願いできれば幸いです」などというNBSの書きぶりを読むと,「演目が減るからって文句を言ったら,こんなに早く日本で踊ってくれるマラーホフに悪いわよねぇ」と思ってしまう日本人的?人情につけ込まれる気がして,少々不愉快になってしまうのでした。


変更の詳細

Aプロ
ニジンスキー『牧神の午後』マラーホフ&東バ → そのまま
『パキータ』セミオノワ/マラーホフ&東バ → 『白鳥の湖』2幕 セミオノワ/マラーホフ&東バ
『ヴォヤージュ』マラーホフ → なくなりました。
ソロ(演目未定)セミオノワ → 『アレス・ワルツ』セミオノワ

以下は変更なし
『くるみ割り人形』ドヴォロヴェンコ/ベロツェルコフスキー
『スプレンディッド・アイソレーション』ドヴォロヴェンコ/マクシム・ベロツェルコフスキー
『白鳥の湖』黒鳥のパ・ド・ドゥ アレクサンドロワ/フィーリン
アロンソ『カルメン』アレクサンドロワ/フィーリン
『ドン・キホーテ』サレンコ/コンヴァリーナ
『ゼンツァーノの花祭り』サレンコ/コンヴァリーナ

Bプロ
ロビンズ『牧神の午後』セミオノワ/マラーホフ → そのまま
ベジャール『これが死か』マラーホフ&セミオノワ・サレンコ・吉岡・上野 → バランシン『バレエ・インペリアル』セミオノワ/マラーホフ&東バ
『アリア』マラーホフ → なくなりました。

以下は変更なし
『白鳥の湖』黒鳥のパ・ド・ドゥ ドヴォロヴェンコ/ベロツェルコフスキー
『アポロ』ドヴォロヴェンコ/ベロツェルコフスキー
『ハムレット』アレクサンドロワ/フィーリン
『シンデレラ』アレクサンドロワ/フィーリン
『エスメラルダ』サレンコ/コンヴァリーナ
『グラン・パ・クラシック』サレンコ/コンヴァリーナ


↑を書いた結果,思い出しました。
そうだった! アレクサンドロワのカルメンが見られるのだった。
楽しみだわ〜♪

  

  

2007年11月16日

来年2月の「マラーホフの贈り物」は

明日チケット発売ですね。

ぴあイープラスNBS

  

  

2007年11月08日

NBSからDMが来まして

「マラーホフの贈り物 2008」のFAX先行予約(なんの会員にもなっていないが,たまにチケットを買うのでDMが来る人対象)は明日受付開始だそうです。

うーむ,セット券にすべきか,とりあえずはAプロだけ注文するか。悩むなぁ。

プレイガイドでの先行発売も始まっていますね。
ぴあプレリザーブ 11/8(木) 6:00PM〜11/13(火) 9:00AM/イープラス 11/8(木)12:00〜11/11(日)18:00/NBS


それから,明日はギエムの公演のエコノミー席が発売されますので,狙っている方はお忘れなく〜。
→ イープラス


なお,↓の『椿姫』のチケットはお値下げして募集中です。よろしく〜。

  

  

2006年06月12日

マラーホフの沼地パ・ド・ドゥが

見られるんですって〜♪

世界バレエフェスティバルの話ですが・・・
なんか,いつの間にかAプロ・Bプロにも一部演目変更が出ていて,Aプロのヴィシニョーワ/マラーホフは『マノン』沼地のパ・ド・ドゥと表記されているのだそうです。
(情報源は,めぐみの馬耳豆腐 さん)

やった♪ NBSさん,ありがとう〜♪

ヴィシニョーワが死にそうに見えるのか? という不安はありますが(ほら,生命力の象徴みたいなバレリーナでしょ,彼女って),でも,マラーホフの沼地のデ・グリューは是非一度は見たかったの。

きっと悲痛この上なくて,正視するのがつらいようなデ・グリューだよね〜。
ああ,楽しみだわ〜。
(再変更になりませんようにっ)

  

  

2005年10月10日

更新記録

今さらながら,ベルリン国立『ラ・バヤデール』の感想を載せました。

なんか,長くて散漫な感じがしますねえ。
それから・・・マラーホフの悪口を言っているつもりはないのですが,ファンの方が読めばそう読めるかも,という気はするので,ご注意いただいたほうが無難かと思います。

えーと,それから,昨日書き忘れたのですが,表紙のカウンターが45万を超えました。(いつもどうも〜)


ついでに雑談(楽天市場の廻し者)

栗の季節ですねー。つーことで,写真を貼ります。
「東北宮城の山奥、鳴子温泉より天然の山菜やキノコをお届けいたします」というお店なのですわ。
天然山栗 1kg 天然山栗 1kg

それから,栗といえばモンブラン。つーことでこういうのもあります。
秋はやっぱりこれでしょ♪わん!ダフルなモンブラン!! わん!ダフルなモンブラン!!


  

  

2005年08月01日

来年の「マラーホフの贈り物」

既にあちこちで話題になっておりますが,予定プログラム(+予定出演者)がNBSのサイトに載りました。
http://www.nbs.or.jp/stages/0602_malakhov/index.html


ところで,どうでもいい話ですが・・・
ブログというものには「カテゴリー」分けの機能がありまして,この日記は,基本的には各バレエ団をカテゴリーとしております。
で,バレエ団と関係ないガラ公演は「ガラ公演など」というカテゴリーに放り込むことにしているのですが・・・この公演はどうしたらいいのかしらねえ?

やっぱり「ガラ公演など」でしょうかね?
・・・とも思うのですが,芸術監督マラーホフに敬意を表して,ベルリン国立バレエに分類しておくことにいたしましょー。(ほんとにどうでもいい話だな,こりゃ)

  

  

2005年07月13日

ヴィシニョーワ/マラーホフの『バヤデール』3幕

いつまでたっても終わらないので,自分でも呆れているのですが・・・今日は3幕の話を。


影の王国のコール・ド・バレエはよくなかったと思います。
というより,見ているときは「こんなにヒドイの初めて見た」と思いました。

まあ,たぶん,これは言いすぎでありましょう。
落ち着いて考えれば,例えば(やはりマラーホフ主演で見たときの)ABTより悪かったかどうか,映像で見たロイヤルより悪かったかどうか,はよくわかりません。
事実上発足したばかりのバレエ団が破綻なく踊っている・・・と誉めるべきなのかもしれませんが・・・うーん・・・やっぱり,統一感も美しさもないコール・ドだったとは思います。


ヴィシニョーワは美しかったです。
柔らかな上半身と強靭な下半身。たぶん難しいのであろうこの場の踊りをすべて見事に踊り,これぞプリマの格と美,という感じ。

(初役だったと聞く)キーロフの舞台で見たときは「精霊になろう。ニキヤの影になろう」という懸命さが突出して,「意欲は買うが向かないものは向かない」だったのですが,今回はそういう無駄なことに精力を使わずに,音楽と振付に忠実に(完璧に)踊り,その中から,「愛した女が純粋な美しさでソロルの眼前に」という趣が現れていたと思います。

最後の高速のピケで舞台を斜めに横切るところなどは,「見事すぎてニキヤには見えない」とも思いましたが,これは音楽と振付のせいですものねえ。
(マラーホフも,せっかく音楽や振付を改訂するなら,こういうところをロマンチックに直してくれればいいのにぃ)


マラーホフのほうは,普通にきれいだったというか,全幕だからセーブしていたというか。

例えば,このシーンの最初のパ・ド・ドゥの終わり。ニキヤを追って,ソロルがゆっくりと下手の袖に消えていくところ。

かつて見たマラーホフは,このシーンで「のけぞり」と言いたいくらい上半身を反らし,しかも捻りも加えて,それはもうゆっくりと舞台から消えていったものです。それはナルシスティックな美しさと余韻に満ちていて・・・最後まで舞台に(視界に)残った片手の先を今でも思い出すことができるほどです。
私はマラーホフはソロル向きのダンサーではないと思っていますが,この消え方に関しては,ルジマトフも敵わない,とも思っていました。(これは,私としては,最大級の誉め言葉です)

でも,今回のマラーホフは,それなりに上半身を反らして,それなりにゆっくりと歩み去っていましたが・・・うううむ・・・普通でした。
というか・・・これは(そう信じていただけることはないだろう,と思いながらも)あくまでも客観的な認識として言うのですが・・・あの程度なら,小嶋さんのほうがきれいです。いや,私が言うのも非常に妙ですが,ああいうシーンでマラーホフが小嶋直也以下では困るわけですよ。そういう事態は,私にとっても「あってはならない」ことなわけですよ。

全体にこういう調子で・・・はっとする瞬間,「マラーホフって美しいわ〜」というものがないままに終わってしまいました。ヴァリアシオンはもっと明瞭に省エネモードだったと思いますし。


一番印象的なのは,最後にニキヤを追って倒れ伏した姿だなぁ。
そう,これは哀切な美しさで胸に迫るものがあって,それはもう見事だったと思います。あたかも生贄が倒れるかのような,無垢の存在が不法な力で蹂躙されているかのような美しさ。ある意味「耽美」の世界の色気が溢れ出て・・・これぞマラーホフの真骨頂。

あとから考えれば,「自分のせいでこうなったわけなのに,あたかも一方的な犠牲者であるかのように倒れました」などと描写したくもなるのですが・・・見ているときは,たいそう引き込まれて,心動かされました。


さて。
倒れ伏したソロルの前に,ガムザッティが現れ(もしかすると領主や大僧正もいたかも),ソロルは惑乱の中に結婚式に臨むこととなります。
(3幕終わり)

  

  

2005年07月09日

ヴィシニョーワ/マラーホフの『バヤデール』2幕2場の後半

さて,婚約式にニキヤ登場

ヴィシニョーワのソロは美しかったです。
身体を反らす動きが雄弁で,悲哀と妖艶と未練のブレンド具合が絶妙。しかも「ニキヤ」からはみ出さないように抑制を効かせて表現している感じで,「よいな〜」と思いました。

花篭の踊りは,音楽も振付も違っていました。あのクレッシェンドしていく音楽と振付は「なんだかはしゃぎすぎのような」ではあるので,ここをよりおとなしめに変えたマラーホフは趣味がよいな〜,と感心。
が,その一方で,ニキヤが廻りのダンサーに花篭を見せてまわり,見せられたほうも皆で「まあ,よかったわね〜」と喜ぶという不可解な演出もありました。(ああいうの,初めて見た気がするんだけど・・・違いますか?)

でも,喜ぶヴィシニョーワがかわいらしかったので許します。
花篭をもらってソロルからだと告げられた瞬間,ぱっと全身の表情が変わって,それはもう愛らしい笑顔になったの。で,再度「一途な愛」というキャッチコピーが心に浮かんで,なんだか幸せな気持ちになりました。
あの場面を見て幸せになるのは変だけれど・・・でも,彼女は,そういう力のあるダンサーなんだと思います。


ニキヤが毒蛇に噛まれたあとのソロルの行動はかなりトホホなものでありました。
ニキヤがガムザッティに迫っている間はなにもできずにいて,彼女が倒れると駆け寄りかけたものの,(誰かに止められたわけでもないのに)丁度舞台中央で踏みとどまる。最後には,領主とガムザッティに促されて,彼女とともに上手の袖に去っていく・・・。

ただ,まあ,この辺りはなにをどうやってもトホホな男なのは変わりない,という気もします。ニキヤのすがるような視線を受けて顔をそらすという芝居も(←ルジマトフのことです),肝腎の瞬間に彼女を裏切る行動という意味では同罪かもしれませんねー。

でも,そういう行動を明瞭に見せる演出(マカロワ版)を採用したということは,やはりマラーホフは,「恋と人生をいっしょくたにしない」ソロルを見せたいのであろう,と理解することにしたところで,2幕は終わり。
休憩となりました。

  

  

2005年07月06日

ヴィシニョーワ/マラーホフの『バヤデール』 2幕2場の前半

いずれサイト本体にまとまった感想を載せるための下書き(その3)


婚約式の演出も,マカロワ版に似ていました。
ガムザッティとソロルが寄り添って歩いて登場するところとか,コール・ドはオウムではなく扇を持って踊ることとか,太鼓の踊りがなくブロンズアイドルも出てこないこととか,最後にガムザッティとともに去っていくソロルを見た衝撃でニキヤが解毒剤を取り落とすとか・・・。ただし,壷の踊りはありました。

女性16人と男性8人の扇の踊りは,華やいだ雰囲気があって,まずまずよかったです。
ここはたぶん,純粋にマラーホフが振り付けた部分なのではないかしらん? 音楽もちょっと違っていたような? 編曲の違いかな?


続いてグラン・パですが,男性2人があまり見目麗しくなくて残念でありました。
そして,マラーホフの踊りがよくなくて,かなり残念。いや,ちょっとショック。

ほとんど身長差のないクノップを上手にサポートしているのには感心しましたが,ヴァリアシオンがあまりにも精彩がなくて・・・。跳躍の高さはないし,回転では「え? こんなに形が決まらない人だったっけ?」と。
(あ,もちろん,普通にはきれいで上手ですよ。でも,マラーホフだと思うと「???????」な踊りでした)

それから,終始一貫歯を見せて踊るのが非常に気になりました。いや,にこやかにしているのならいのですが,そうは見えないの。なんか,彼の歯を見せている表情って・・・失礼な形容かもしれませんが・・・ターバンとあいまって,「おばさん」くさかったです。


クノッブはよかったです。
上半身が硬いのかな,優美という感じではなかったですが,押し出しが強いし,見せ方も心得ている。いかにもガムザッティらしい気迫の感じられる踊りで,最後のイタリアンフェッテ〜グラン・フェッテも「さあ,見せてあげるわ。私の踊りはこんなに見事なのよ」と満場の観客に向かってアピールしている風情。「ひゃー,かっこいいなー」と感心しました。


ところが,満場の中にただ1人,彼女のフェッテを見ていない人がおりまして,それが誰かというとソロルなのですね。

この版では,自分の担当する踊りが終わったソロルは,上手の前のほうに腰を下ろしてしまう。で,客席に背を向けて鷹揚に藩主と物語ったりしているのですわ。脚をゆったりと交差させて,片手を背後に突いたその様子は,まるで,嫁取りに来た隣国の王さまがくつろいでいるかのようでした。(←「逆玉」には全く見えない)

「後ろ姿で見せる」ことができるということ自体がすばらしいことですし,その雰囲気は,明らかに1幕の「こりゃロミオか?」とは全く違う大人の男性。いわば,王侯貴族の姿。
「きゃああ,すてき」と思いましたし,そういえばこの版のソロルは「裕福で名のある戦士」だったよなー,「戦士」かどうかはともかくとして,まさに「裕福で名のある」だよなー,と感心もしました。

そして,もしかするとマラーホフは,「恋と人生をいっしょくたにしない」普遍的な男性像を描こうとしているのかもしれない,と思いました。
それなりの生まれと育ちの人間が生きていく中には,いろいろ考えなくてはならないこともある。長い人生のためには,どういう女性と結婚するのが賢明か,という判断だって当然しなくてはならない。

ソロルにとってニキヤへの恋は偽りではないけれど,「長い目で見た人生」とは無関係だからこそ燃え上がった一時の感情で,だからこそ,1幕は純粋な恋そのものだったのかもしれない。ガムザッティに引き合わされたととき,それが若気の至りだと気付いて,その衝撃でよろめいたのかも。ガムザッティとの結婚は自分の主体的な選択でしたことで,だからこそ,グラン・パでは,「不自然な笑顔」で踊っていたのかもしれない。そして,このシーンではガムザッティへの無関心を洗練された大人の物腰に包んで
・・・などと考えたわけです。


そうこうするうちに,ニキヤ登場。
そうすると,このソロルは完全に俯いてしまって,ニキヤもガムザッティも目に入らない様子。ただひたすら自分の存在を消したいかのように見える。

その姿に,「後ろ姿でこういうことも表現できるのか,たいしたもんだなー」と感心し,「うう,かわいそう」と同情しつつも,「どういうソロルを見せたいんだか,さっぱりわかんない人だなー」と困惑してしまったのでした。


やれやれ,話が進まないですねえ。2幕2場の後半を見て思ったことは,たぶん明日に〜。


  

  

2005年07月05日

ヴィシニョーワ/マラーホフの『ラ・バヤデール』 2幕1場

いずれサイト本体にまとまった感想を載せるための下書き(その2)

2幕1場
最初に,戦士たち8人の踊りがあるのが珍しかったような。戦士たちがシャンベの踊りを見ながら囃し立てたり,ちょっかい出したり,去っていくのをわらわらと追うことまでする演出も珍しいかも。
それから,ニキヤと奴隷のパ・ド・ドゥもありませんでしたが,これはマカロワ版と同じ。

ところで,シャンベの踊りはよくなかったと思います。元気がよすぎるというか,あれではバレエになっていないというか・・・アメフットの応援してるんじゃないんだからさー。


ガムザッティを踊ったクノッブはたいへん長身のバレリーナでした。(マラーホフと同じくらいのように見えたから,180センチ近いのかも)

長身だから見栄えがするし,国立歌劇場バレエ時代から10年以上プリンシパルを務めているというだけあって,威厳もある。
美人であるとか華があるという感じではなかったのですが,それに替わるだけの存在感があり,そういうものがある場合には,美貌はないほうが効果的なこともあるのだなー,と感心しました。もっとありていに言うと,少々不器量だからこそ,役に説得力が生まれていたのではないか,と。

「ワガママな箱入りのお姫様」ではなくて「自分の立場をよく知っていて,その権力や財力が他人に与える力も知っていて,それを行使するのが当然と心得ている」大人のガムザッティに見えました。(大人だということは,つまり,「嫁かず後家」の一歩手前でもあるわけです)


プログラムの説明によると,ソロルとガムザッティの間には「大昔に結んだ婚約の約束」があるらしい。
そう言えば,ソロルと領主のやりとりには,それらしいものがあったような気もしますが,結局は領主は「ええい,ごちゃごちゃ言うな。我が娘に引き合わせるぞ」と話を進めるから,意味がない設定のような?

この後のマラーホフの演技は,意図不明なものでありました。
ガムザッティを目の当たりにした途端,よろよろと少し後ろに下がる。うーむ,いったいどういう心情を表わしていたのであろうか?
「その美貌に心が動いた」のでもよいし,「困惑しつつも社交儀礼に沿って振る舞っていた」でもよいのですが,どっちとも見えない。あえて言えば,「ガムザッティの威に打たれた」という印象で・・・うーむ,そりゃいくらなんでも情けなくありませんかね?


領主のドゥビーニンは,肉襦袢を着けていたのでしょう,恰幅もよく,いかにも「マハラジャ〜」という容姿。雰囲気や演技も,鷹揚(=無神経)な異国(←クラシック・バレエの世界から見てのステレオタイプな異国)のご領主さまで,とてもよかったです。
モスクワ音楽劇場で踊っていた頃に見ていると思うのですが,こんな形でこんな風に再会するとはびっくり〜。

大僧正がニキヤとソロルのことを告げたときも,怒りに燃える風ではなく,どことなく悠然と「うむ,それではその舞姫を殺せばよいな」と決定する感じでありました。(依然として威厳のないまま慌てる大僧正が非常に気の毒)


ニキヤとガムザッティの対決シーンはとてもよかったです。
(そうそう,『バヤ』はこうでなくっちゃ〜♪ と大いに盛り上がった)

まず,ニキヤが現れる前,ガムザッティがソロルの肖像画を見る演技に雰囲気がありました。
単に「すてきな方だわ〜。やっぱりこの方と結婚したいわ〜」ではなくて「・・・言い交わした女がいるのね」と事実を咀嚼しつつ「あれだけ美しい男だもの。女の1人や2人いるのは当たり前。それだからこそ私のものにする価値があるのだわ」という感じ。

そして,ヴィシニョーワが登場してからは,双方感情の起伏も激しければプライドも高く,しかも戦法も知っている,という感じで,攻守がめまぐるしく入れ替わる白熱した闘いが繰り広げられました。
(戦争が起きたら,ソロルよりこっちの2人のほうがよっぽど頼りになりそうですなー)

特に印象的だったのは,「この国も領地も領民も私のもの。ソロルももちろん私のもの」というガムザッティに気圧されていたニキヤが顔を上げた瞬間。
ソロルの自分への愛を高らかに宣言する・・・と続くのですが,「顔を上げる」というだけのヴィシニョーワの身体の動きから,「一途な愛」というキャッチコピーが見えるようで,感動しました。

そうなんだよね〜。多少巫女に見えなくてもこの際いいんだよね〜。妖艶さもあるけれど,それよりもっと大切なのは,燃え上がる愛なんだよね〜。
ヴィシニョーワってそういうダンサーなんだよね〜。


うう,どんどん長くなっていく。
明日は,たぶん,2幕2場(婚約式)について書きますー。

  

  

2005年07月04日

ヴィシニョーワ/マラーホフの『ラ・バヤデール』(1幕)

いずれサイト本体にまとまった感想を載せるための下書き

1幕の最初のほうは,話の進み方がたいへん速くて,少々違和感がありました。
昨日書いたように,ソロルは「この神殿の奥に愛しい人が」という芝居をする暇なく,てきぱきとマクダヴェヤに逢引のアレンジを命じて消えるし,大僧正がニキヤに迫る場面もあっという間に片付けられる印象。

いや,この大僧正との一場はほんとうに妙でした。
ヴィシニョーワも巫女には見えませんでしたが,大僧正はそれに環をかけて聖職者に見えない。いや,聖職者らしくなくても「なんか地位のありそうな人」であればよいのですが,クラムには威厳の類が全く感じられない。かといって「ヒヒじじい」かと言えばそうでもなく・・・「地味だが背の高いかっこいい人」に見える。

その結果,なんかジゼルとヒラリオンの関係みたいな「え? あなたと私が結婚? やだわ,そんなつもりはなかったわ」的な拒絶に見えてしまいました。


そして,ニキヤとソロルの逢引シーンになるわけですが,これも少々変わった味わいでありました。若い二人の幸福な恋の場面で,他人の目を盗んでの刹那的な逢瀬には全く見えない。

まあ,この辺は,振付的に見ても,そういう場面になってしまうのはやむを得ないとは思いますし,そのほうが直後のソロルの裏切りが効果的かもしれませんが・・・でも,ヴィシニョーワは舞姫を忘れて恋を謳歌している感じだし,マラーホフのほうも少年のような純愛を捧げているように見えて・・・なんか違うような気がしました。

なお,ヴィシニョーワ/マラーホフのこの場面のパートナーシップは,かなり安全運転重視に見えて,少々意外でありました。
(これだけのスーパースター同士でも,初日だと緊張するのかしら〜,それとも調子が今一つなのかしら〜,と思った)


演出や振付に関しては,マグダヴェーヤたち苦行僧がちょっと変わっていたかな。衣裳・メイクがこぎれいなのが珍しかったです。
彼らの踊りは,「火の上を跳び越す」に加えて「火の周りで輪になって難しそうな跳躍をする」もあって,見応えがありました。


あ,あと,冒頭に虎が出てきませんでした。
というか・・・この版は,虎狩りから帰ってきたのではなく,今から狩りに行く,という設定だそうで,マラーホフは「君たちは狩りにいきたまえ。いや,僕は行かない」とマイムで語っておりました。

これにどういう意味があるのかわかりませんが・・・勇猛な男が恋をしている,という設定ではなく,恋は得意だが狩りには興味がない軟弱な男だ,ということを強調しているのかしらん。(笑)


と言いたくなるくらい,マラーホフは戦士には見えませんでした。
それはわかっていたので文句を言っているわけではないのですが・・・・登場シーンの,上手奥から舞台前方に向けて美しい放物線を描くグラン・ジュテを見た瞬間,おお,これぞマラーホフだわ〜,と思い,同時に,なんだってよりによってこの作品を持ってきたのだろうか? と不思議にも思いました。
(ほら,例えば『マノン』を見せてくれたほうが嬉しくないですか?)

  

  

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